【Air Bishkekの公式Webサイト。キルギス系航空会社とは思えぬ素晴らしい出来に驚かされます。もっとも広告と現実が違いすぎるのは、ロシア圏商売の常。実際は、そうそう甘い空の旅は楽しめないでしょうが、話のタネとしてぜひ一度乗り込んでみたいものです。】
家内とチビは夏休みや冬休みを利用して定期的にキルギスに里帰りしています。
そんな時、いつも困るのが利用する飛行機。
陸の孤島の様なキルギス。当然日本からの直行便などありません。
少しでも便利な路線がないか探すのが里帰り前の恒例になっています。
おかげ様でそんじょそこいらのツアー企業の社員に負けないぐらい中央アジアやロシア圏の空路には強くなりました(笑)。
さて、キルギス行きに関して現在一番便利な航路は、ウズベキスタン航空でしょう。
成田空港からウズベキスタンの首都タシュケントまで約8時間。
その後乗り換えてキルギスの首都ビシュケクまで1時間。およそ半日弱のフライトです。
“半日弱?何やアメリカとかヨーロッパ旅行より全然ラクやん!”
そう思った方、甘い、甘すぎです!
確かに搭乗時間は短いのですが、問題は乗継時間。
往路は短いものの復路の際の乗継便を待つ時間がメチャメチャ長いのです。
実に約13時間。
搭乗時間以上の乗り継ぎ待ちです。
この長丁場を何にもなく、おもてなし精神皆無のタシュケント空港でボケーッと過ごすのです。
大人の僕や家内はともかく、まだまだ幼いチビはやはり気の毒です。
“うーん何とか直行便ができないものか・・・”
今年は里帰りの年なので悩んでいた矢先。
『ソウル-ビシュケク間で直行便が飛んでるってよ!』
家内のお母さんからビッグニュースが飛び込んできました。
早速インチョン国際空港のサイトを見ると。。。。
ウソぉ!ホンマに飛んどる!!!
週1回の定期便が飛んでいたのです!!!!
そうなると格段に旅は快適になります。
ソウルと日本は多数の便がありますから時間の調整などいくらでもできます。
加えてインチョン空港は綺麗で快適。
仮に多少乗継時間が発生しても退屈しないでしょう。
で、肝心のビシュケク-ソウル間を運航する航空会社は???
そう思いインチョン空港の発着スケジュールを検索します。
『Air Bishkek? エアー・ビシュケク?』
初耳の会社でした。
インチョン空港のスケジュール表には、各航空会社の社名とともに企業ロゴも掲載されています。
エアー・ビシュケクのそれはスカイブルーの丸っこい文字。
妙にかわいくフレンドリーなのも逆に怪しさ全開です。
公式Webサイトがあったんで、恐る恐るWebサイトを開くと。。。。。
意外にもすごく普通!と言うかむしろイイ感じ。
スケジュールもきちんと掲載してるし、ニュースも律儀に更新してる!
おまけに会社のスタッフとチャットできるんで質問には即座に回答が来る!!
他にもイベントの告知なんかもあります。
様々なキャンペーンから福祉系イベントの協賛までバラエティ豊か。
すごいやんか!
ビシュケクなんて名前入れてるけど絶対キルギスの会社とちゃうワ!
とまあ、驚きの連続なのでした。
さて、忽然と現れたエアー・ビシュケク。
前身はキルギス・エアウェイズという会社なんだそうです。
老朽機体の無理やり運用のため安全性は最悪。
そのため、欧州やアジアの多くの空港では出入り禁止。
ロシア圏航空会社によくある札付きの会社でした。
ところが、数年前から経営改革を始めたらしく、機材更新やサービス向上を進めてきました。
安全基準、乗務員レベル、損音対策を追求した結果、以前なら出入り禁止だったエリアへの運航に成功。今では、ロシア、中国など周辺国に加え、イスタンブール、ソウル、ドバイなどの大空港にも就航しています。
装備している機体も世界基準のものが揃っています。
国際線は全て欧州のエアバスA-320を採用。日本でもJALやANAが普通に使用している機体です。
ロシア圏航空会社でおなじみ旧ソビエト時代のツポレフやイリューシンは影も形もありません。
それにしても不思議な会社です。
万年貧乏のキルギスで何故こんな立派な(と言ってもキルギスレベルでの立派ですが)会社が設立されたのか?公式サイトを見てもあまり設立の経緯等について詳しく触れていません。
フリー百貨辞典ウィキペディアを見てみます。
当然ながら日本版は掲載なしだし、英語版もイマイチ詳しくありません。
ただ、英語版では、2011年にロビン・ルイスさんと言う人物がニューヨークからCEO(最高経営責任者)として来たと解説していました。
“ははーん、アメリカの中小航空会社が新規開拓先として設立したんやなあ。”
ウィキペディアの記事を見た僕はこう考えました。
であれば家内も喜んで利用するでしょう。
何しろ家内のキルギス系航空会社に対する評価は最悪なのです。
僕と結婚前に何度か搭乗したものの、整備のルーズさや操縦の稚拙さに肝を冷やしたとのこと。
この記憶がトラウマとなり、キルギス系航空会社と聞くだけで強い拒否反応を示すのです。
これは未曾有の災害に遭った際も同じでした。
東日本大震災の時のこと。
在日キルギス大使館が在日の自国民に避難を呼びかけ、母国に帰る飛行機を用意したことがあります。
しかし、家内は、頑として避難勧告を拒否。
『地震よりキルギスが用意する飛行機なんかに乗るほうが、よほど危ないわよ!』
こう大使館員に言い放ち、テコでも日本を離れない根性を見せたのでした(笑)。
さて、話が脱線しました。
ウィキペディアの記載を見た翌日、アメリカ系企業であるか否かの確認のため、僕はエアー・ビシュケクのオフィスに電話をしました。
“まあ、はっきりCEOの名前も明記しとったし、恐らくアメリカ系企業なのは間違いないやろ。心配性の家内のために念のための確認しよか。”
そんな軽い気持で会社のプロフィールを聞いたのです。
ところが、、、、、、
『ニューヨークからCEOなんて来たこともない。』
『ウチはキルギスの民間企業でアメリカとか全然関係ない。』
『そもそもロビン・ルイスって誰よ?』
と衝撃コメントが連発。
ウィキペディアの情報は全てではないものの、多くが間違いと判明したのです。
という訳でソウル-ビシュケクの夢航路プランは、もろくも崩れたのですが。。。。
それにしても不思議な出来事でした。
ウィキペディアは、一般人による作成や編集が行われる百科事典。
当然、間違いや誤引用はあるとは思います。
しかし、細部の内容はともかく、会社の顔であるCEOに関する記述が間違いなのは驚きでした。
ましてや肩書きやスペル間違いでなく『そんな人いません』レベルは、初めてでした。
家内に話をすると大笑いした後、『絶対アメリカ系の会社と勘違いさせようとエアー・ビシュケク関係者が嘘を書いたのよ。』とコメント。
さらに『直接電話するあなたみたいな人はそういないから、驚いてボロを出したんでしょう。』
とも付け加えました。
(ちなみに電話をした翌日に再度ウィキペディアでエアー・ビシュケクを調べたところロビン・ルイスさんのお話はすっかり削除されてました(笑)。)
『外国企業風を語って客集め戦法』はあくまで家内の推測。
しかし、ロシア圏には、時折このような『トラの威借りるキツネ』ならぬ『外国の威を借る会社』に出会います。
皆様ロシア圏所在の航空会社をご利用の際はどうぞご注意を。。。。。