私の父は 職人でした
子供の頃 1度だけ父の仕事についていった事がありました。
それは 私が中学生の時でした。
その年の夏に 私の弟の事故死があり 我が家は父と母そして私の3人家族に
なって 誰もが 幼くして天国へ旅立った弟の事を想い悲しい気持ちでいた時でした。
その日は 日曜日 父が私に「今から仕事に行くけどついてくるか?」と
そんな事を言ったのは初めてで 私は父の仕事への興味もあり付いていくことに
父の仕事は 塗装業でした この事を友達に話すのが恥ずかしいと思った時期もありました。
仕事から帰ってくる父と言えば いつもペンキだらけの服で 手も髪もペンキがついている
父について仕事に行って初めて 父が誇らしいと思いました。
その日の仕事は 前に父が塗った壁の塗り替えでしたが その家のご主人が
「いや~ この壁は あんたじゃなきゃダメなんだ 他の人に任せられん」
そう嬉しそうに父と私を出迎えてくれました、父が壁を塗り替える間 私は
父の手伝いで 刷毛を取ったり 渡したり 1日では終わらない仕事で 父はその後も
その壁を塗り続けていたと思いますが 私の記憶には完成した壁の記憶がなく
おそらく 私が手伝いに行ったのは そう この1日だけだったと思います。
その日 私はというと ショートカットの髪に 薄手のトレーナー オーバーオールといった
スタイル そこの奥さんに「可愛い跡継ぎがいていいですね~」と どうやら そこの奥さん
私を男の子と間違えたらしいです(笑)
父の仕事が誇らしく「職人の心いき」というのを感じた出来事でした。