なんとか無理くりお風呂を済ませ、さらに髪の毛もまーくんに乾かしてもらう。
それからまーくんは、まだお布団でゴロゴロしたがる俺をソファーに移し、テキパキお布団を片付けてしまった。
まぁ、そうしないとちゃぶ台が出せないから、なんにも始まらないわけで。いいんだけどね。
それにしてもホント元気だなあ。

「いただきます」

朝ごはんは、まーくんのお母さんが持たせてくれたおにぎり。
腰は痛いが腹は減る。俺はありがたくパクついた。そして隣でのんきにパクパク食べているまーくんを見て、ちょっとへそが曲がる。

「…履修登録するんじゃなかったの」

まーくんはおにぎりを頬張りながら、俺を見てニコと目を細めた。

「それより大事な話をするほうが先だったからね。スゴく大事なね」
「……話だけじゃなかったじゃん」
「それも含めて!大事でしょ?」

耳が赤くなるのを止められなくて、俺は「ハイハイ」とそっぽを向いた。

「かずだってその気だったじゃん」

図星を刺されて、さらに不利になる。

「だからって、ハリキリ過ぎじゃない?…怖い思いした後だってのにさぁ」
「怖い思いしたから、だろ?」

ううう…。
何を言っても今日は勝てない気がする。
そこで不意に思い出して言ってみた。

「じゃあ、位置情報共有は?アレはなに?どーすんの。てか、よくあんなの知ってたね、まーくんなのに」

そうしたら、まーくんがおにぎりを喉に詰まらせそうになった。

「おおお俺だって、それくらい」
「へぇえ?」

じっとり見つめると、まーくんが早口で説明してきた。なんでも家庭教師先の子が私立中に合格して電車通学になったのを機に、お母さんが位置情報共有機能を使いだしたんだって。

「いいな、便利だなって思って」
「へー、でもなんでまーくんまで急に?」
「そ、それは…」

まーくんは口ごもって頭を搔いた。