俺が無言でまーくんをじぃっと見つめ続けると、その圧に負けたのか、まーくんがモジモジ話し出した。
「…どこにいるか、わかるようにしたのっ」
「はあ?どーゆう事」
「だからぁ、位置情報を共有したのっ」
一瞬、何を言われたのかわからなかった。
俺たちの後ろで、ゆうくんが「げっ」と声を漏らすのが聞こえた。
俺は低い声でまーくんに詰め寄った。
「…共有?なんで、いつ、どーやって」
「え、えっと、スマホで?」
まーくんが笑顔を引き攣らせて答える。
いつの間にそんなアプリを入れたのか、(しかも俺のスマホにだ!)ドン引きする俺に、まーくんが必死に説明した。
なんでもスマホの設定に元から入っていて、それを勝手にONにしたという。
「なにコソコソそんな事してんだよ!」
さすがに腹が立って、まーくんの頭をいつになく強めに叩いた。
「そりゃ、言わないでやったけど通知は行ったはずだよ。だからバレてると思ってた」
「そんなん知らねぇよ!通知なんか山ほど来るんだからいちいち見てないし!」
「えぇ、ちゃんと見ようよ」
「そこじゃないだろってえ!なんでそんな事すんだよ、なに?監視?束縛したいわけ?」
「ちが、ちが…」
まくし立てる俺をなだめようとするまーくんの後ろで、「兄ちゃん、それはヤバいよ」と、ゆうくんがひとり頷いている。
「だって、昨日からかず、様子おかしかっただろ?なんか隠してるみたいだったから!」
痛いところを突かれた。
そうだ、ゆうくんにナイショって言われて、二人で映画に行くのを黙ってたんだった。
「気になって…心配になるじゃん…」
「……それは、こめん」
まーくんの本当に心配そうな顔に、俺は途端に申し訳ない気持ちになって、一気にトーンダウンした。
隠し事してた俺もよくなかった。
嘘をつくのと、黙っているってのはやっぱり同じなのかな。
俺は手を伸ばして、さっき叩いたまーくんの頭をそっとなでなでした。
…なんか、丸め込まれてる気もするけど。
その俺の手をとって握ったまーくんが、ゆうくんに向き直った。
「で?なんで、ゆうはかずと一緒なの?」
相変わらず声の調子は優しいのに、底冷えするようなガチのトーンでまーくんが問うた。
ゆうくんの顔がサッと赤らんだ。
そういえば。
なんやかやで、頭から吹っ飛んでたけど。
俺、ゆうくんに「俺じゃダメ!?」って言われなかったっけ?
えーと…、アレはもしかして…告られてた?