「どう違うのか、ちゃんと教えて」

まーくんは低い声でゆっくり繰り返した。
俺はおでこを押さえられた状態で、口をパクパクさせるだけで固まっていた。

…意地悪。
いつもはめちゃくちゃ優しさの塊なのに。
時々こんなふうに意地悪になるんだ。

もおぉ、なんなんだよお!

悔しくなった俺は反撃にでた。
おでこを押さえる手を跳ねのけ、驚いて身体を浮かせたまーくんの隙をつき、体勢を入れ替えることに成功した。
どーだ、逆床ドンだ!
そんで、びっくり眼のまーくんに熱烈なちゅうをお見舞してやった!
どーだ、これで俺の気持ちがわかるだろ。

勢いってスゴいな。
俺はまーくんの驚いた顔に、内心ニンマリしていた。俺だって、やる時はやるんだもんね。

そんなやってやった感に浮かれて顔を離したら、まーくんが片頬上げて笑ってた。
えぇ…なんだか嫌な予感。

「なるほどね。よぉくわかった」

ヤバい…かもしれない。
俺は早々にまーくんの上から身体を起こそうとしたけど、ガッチリ腕で拘束されて動けない。

「つまり、かずには俺がそう見えるんだね」
「えっと…いや、そんな、ねえ?」
「じゃあ続けて」
「続ける?」
「どんな俺か、もっと知りたいなっ」

まーくんの黒目がちの瞳が、鈍く光ってる。
絶対面白がってるだろ。
俺がまーくんと気持ちよくなろうとすると、同じようにしてるつもりでも、なんか負けちゃうんだよ。んで、結局俺ばっかり訳わかんなくなって、気がついたら朝になってたり。

俺が下手くそなのかな。
それともまーくんが鈍いのかな。

いいよ、俺も男だ。
やってやろうじゃないの!

俺はまーくんのシャツのボタンに指をかけた。