「お?どうした、忘れもんか?」
ドアを開けた克実ちゃんは、さっき帰ったばかりの俺たちがまた来て、不思議そうに俺たちを交互に見た。
俺はまーくんの背中に隠れるようにくっついていた。まーくん一人で行かせるのは心配だもん。
「あの!克実さんはかずに興味があるんスか!?」
ええ!イキナリ過ぎない!?
前置きも無く、切り込むまーくんに俺の方がビビった。案の定、克実ちゃんはポカンとしている。
「なんだよ、やぶからぼうに。何の話だ?」
「克実さん、かずの写真持ってますよね!」
「坊主の写真?……あっ…」
克実ちゃんの顔に動揺が走った。
それを見たまーくんの身体に力が入るのが伝わってくる。俺はと言えば、純粋にガッカリしてしまった。良い人そうだったのに。俺の人を見る目の無さにガッカリだ。
「見られちまったか…」
「写真、返してください!」
「いや、隠し撮りしたのは、ホント悪かった」
克実ちゃんは手を合わせるような仕草で、謝ってきたけど、まーくんの怒りは収まらず、
「隠し撮りは犯罪ですよ!」
「いやぁ、確認したい事があってさ…」
「何言ってんスか!かずの事、へんな目で見んな!この変態オヤジ!!」
ついに乱暴な口調で叫んだ。
「へ、変態だあ!?」
「変態だろうがよ!かずが可愛いからって、こっそり写真撮るとかさあ!なになに、コレクションでもすんの、誰かに売るの、どーすんの!?」
次々捲し立てるまーくんの想像力も、なかなかのもんだなとか思いながら、俺はまーくんの背中に張りついて黙っていた。
「そんなんじゃねぇよ!知り合いに『いい子』が居るって言われて」
「『いい子』!!ほらあ!やっぱ変態じゃん、売る気満々じゃん!!」
「違うって。知り合いに頼まれたの!」
知り合いに頼まれる?
それって、俺の知らない人が、俺の事を知ってるってこと?
そんで俺の写真を欲しがってるの?
どういうことだよ…。
俺は全身に怖気が走った。