今年もちびっと小話♡♡
ぶちょーのお誕生日に捧ぐ🎂
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9月中旬を過ぎても暑かったのに、今日は少しマシな気がする。
日当たりのよい畑の中だと、全身の水分を持ってかれそうな気がするけれど、風が通ると思いがけず冷たくててハッとする。
今日は都会を離れて、俺が収録でお世話になった農園さんにお邪魔していた。夏野菜もそろそろ終わりで、採りにおいでと誘われたんだ。
久しぶりの二人きりでのドライブだってんで、わんこは張り切って「俺が運転する!」と男前な顔をする。でも、今大忙しのわんこには無理は禁物だからね、俺はハンドルを譲らなかった。
わんこはちょっと口を尖らせたけど、やっぱり上機嫌でいそいそと助手席に乗り込んできた。
そーゆーとこ、マジ可愛いんだよな。
有能なわんこは、俺が喉が渇いたタイミングを上手によんで、「ん」と蓋を開けた水のペットボトルをスマートに渡してくる。
まさに「阿吽の呼吸」と言うやつだな。
「ああんの呼吸のほうが好きだけどな」
とニヤついたら、顔を真っ赤にして「オッサンみたい!」とぶーたれた。運転中じゃなかったら、確実に頭をはたかれていたよな。危ないあぶない(笑)。
嵐の曲をBGMに高速をぶっ飛ばし、自然の楽園へとたどりついたのだった。
野菜畑は色とりどりの実が輝いていて、また今日も感動してしまう。
白いナス、赤や緑のオクラ、オクラって赤いのもあるんだな!
農園のおじちゃんの教えに従って、軍手をしてナスを収穫した。ナスは棘があるから要注意なんだ。
最初、わんこは俺の隣で「わあー!」とか「すげえ!」とか言って大はしゃぎしてた。
「やっぱ、ベランダ栽培とは全然違うね!」
「かず、だいぶ頑張ってたけどね。プロってすごいなあ!」
ホントにね。前にベランダで育てたトマトはカラスにヤラれるし、キュウリはあんまりおいしくなかったし、散々だったもんな。
目をキラキラさせる可愛いわんこに鼻の下を伸ばしまくっていると、突然わんこが「ぎゃ…まーくんっ」と俺に飛びついてきた。
「むむむしむしー!やだやだあ」
あぁ…。
そうだった。ここは無農薬を売りにしている野菜農園なんだ。身体に優しいけど、虫にも優しいってわけだ。
それっきり、わんこは俺の背中に張りついて、俺が収穫するのを肩越しに眺めるだけになってしまった。そのくせ、まるで自分が採ったみたいなテイで、スマホで写真を撮ったりしてんの。いいけどさあ。
農園のおじちゃんに少し申し訳ない気がして、様子をうかがうと、おじちゃんは「きゃあきゃあ」言うわんこに、日に焼けた顔を蕩けさせてやっぱり鼻の下を伸ばしていた。
俺のわんこのオジサンキラーぶりは健在だ。
わかっていても、ため息が出るってもんだ。
最近は年齢関係なくなってきてるしさ。
そんな時、くっついてるわんこのスマホがぶるると震えたのが背中越しに伝わってきた。
「あ。桐ケンだ」
俺の眉間にわずかにシワがよる。
仕事で共演して以来、仕事上のやり取りをよくしてたようだけど、この頃はしょーもない事でもなんやかや送ってくるみたいなんだよな。
なにやらスバヤク返信してるわんこを横目に、俺は葉っぱについてた黒い虫を指ではじき飛ばした。美味しい実には虫がつきもの。わかってはいても見るとザワザワする。
俺だってホントは虫は苦手なんだかんな!
スマホをポケットにしまったわんこが、また俺の背中に戻ってきた。
腕を俺のお腹に回してくってり寄りかかってくる。そろそろ疲れたのかもしんないな。
今日の戦利品は、白と紫のナスと緑のオクラ、大量のピーマン、可愛い黄色のチビカボチャ。
カボチャは来月のハロウィンまで飾っておけるかな?
わんこは早速写真を撮ってXに投稿してた。
ほとんど俺が収穫したんだけどね!
農園のおじちゃんにお礼を言って、車で撤収。
帰り道も俺が運転し、わんこは助手席で少しウトウトしていた。
そこへもなにやら届くメール。わんこは面倒くさそうなそぶりでスマホに返信を打ち込んでた。でもそんなわんこの口元がむにむに緩んでんのを俺は知っている。
仲がいいのはホント悦ばしいんだけどさあ!
俺は眠気覚ましのブラックコーヒーをグッと喉に流し込んだ。
その日の夜遅く。
もらった野菜でアテでも作ろうと、冷蔵庫からピーマンを取り出した。
お風呂上がりのツヤツヤわんこが、すぐ側でもうハイボールをチビチビ飲んで赤い顔をしてる。
そんな時にも、震えるわんこのスマホ。
またアイツらしい。何をそんなにやり取りしてんだか。聞けば見せてくれるのはわかってるけど、そうしたい訳じゃないんだ。
でもさぁ、なんかさあ!
俺はムッとした顔でピーマンに向き合った。
サクッと半分に切って、種を取ろうとしたその時。密集した種の間から、なにやら白いものがひょこりと顔を出した。
「えっ…うわあ!?」
「え、なに!?」
虫に気がついたわんこが絶叫して、俺の背中に飛びついた。危なかった、包丁落とさなくてよかった。
「ソレはムリぃ!」
涙目で訴えるわんこ。
そりゃそうだろ、俺だってこんなの無理だよっ。無理だけど俺がなんとかするしかない。
しかたなく背中にわんこをくっつけたまま、その恐怖のピーマンを虫ごと丸ごと、そっとゴミ袋に滑り込ませた。虫さん、ゴメンね。
もはや、次のピーマンを切るのも恐ろしい。
けど俺は強気で挑み、見事「ピーマンとベーコンのおかか炒め」を作り上げた。
ピーマンは悪くない!なんなら虫だって悪くない。頂いたものはキチンと食べないと!
そう言って、熱々のお皿をつき出した。
「できた!出来たよ!ほら!」
足元がゾワゾワするのを必死に我慢して作ったのに、肝心のわんこはソファーから目だけ覗かせてこっちを見てる。
俺の背中にいたわんこは、俺が次のピーマンを切った瞬間にソファーに避難していた。
お皿とお箸をわんこの前のローテーブルに並べると、恐る恐るお皿を覗き込んでる。
鼻をくんくん言わせて本当にわんこみたい。
「…いない?」
「まかせろ!」
「ほんとにぃ?」
「なになに、俺の事信用できないっての?」
わんこはソファーから下りて、俺の膝の上に乗ってきたから、全身で包み込むように後ろから抱き込んでやる。もう怖くないだろ?
綺麗な蝶にも、可愛い花にも虫は寄ってくる。それはごく当たり前で自然な事。
美しいもの、愛らしいものが悪い訳でも、寄ってくる虫が悪い訳でもない。
わかってるよ。
わかってんだよ!
けどさ、けどさあ。
やっぱ虫から守りたいじゃん。
追い払う方法を知りたいじゃんか。
「これ、めっちゃおいしい!!」
腕の中のかずが、目を輝かせて俺を見た。
そしてお箸で器用に俺の口に運んでくれた。
「あーん」
俺はわんこを抱いたまま、そっとわんこのスマホを遠ざける。
こっからは絶対邪魔されたくない。
花にも実にも、虫にも優しい撃退法ってないのかなぁ?
誰か知らない?絶賛募集中です!!
おしまい♡♡
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あれ?ちびっとのつもりが笑
ぶちょー
お誕生日おめでとうございます!!💐💐
にのあいぶ
いつも楽しませてくれてありがとう♪̊̈♪̆̈
。゚ .(*゚▽゚*)゚ .゚カンシャー♡
ちなみにピーマンからひょっこりはんは←
ワタクシの経験談です( ;´꒳`;):ヒィィ
今も毎度ヒヤヒヤ切ってます笑笑
あ、えっと
別ににのちゃん沼にハマった方々を
虫だと言ってる訳ではないんで…
そこんとこよろしくです(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)