あれから三日。
俺はただただがむしゃらにボールを追いかけてた。
かずくん家に押しかけてアレコレ聞き出したいのをやっとの思いで我慢して、三日目の今日、部活終わりにハンバーガーショップに来ていた。
今日はかずくんが図書委員の当番日では無いことは確認済みだ。

「ねぇ、もうさ、俺だって暇じゃないんだよ、相葉ちゃん」

目の前の風間がジュースを飲みながらぼやいた。

「どうだった?どうだったあの二人っ」
「俺の話聞いてる?」
「どうだったかって聞いてんのっ」

風間は、大きなため息。
あきらかにゲンナリしているけど、俺はそれに構っている余裕はない。更にせっつくと、

「おとといは図書委員の後一緒に帰って、公園でアイス食べてた」
「うんうん、で、きのうは?」
「昨日は黒木華のうちに行ってた」

げげっ!!マジか。
そんなすぐに彼女の家に行く!?
俺は大ショックのあまり、目の前のジュースをひっくり返してしまった。

「わあ!ちょっと相葉ちゃんっ」
「それで!?それで二人は何してた!?」
「知らないよ、俺探偵じゃないし」

地団駄をふむ俺を風間が「相葉ちゃん、落ち着いて」となだめながらテーブルを拭いてくれたけど。
落ち着いてなんかいられるか。
かずくんのていそーの危機かもしれないのに。
うがぁ!って頭を抱える俺を見て、風間がまたため息をつく。

「心配し過ぎだって。まだ付き合い始めたばっかだし、そんなすぐにアレコレしないよ」
「アレコレってなに!?」

俺の頭の中に、これまで見たエロ本とかのヤバいシーンが浮かんで一気にパニクってしまった。
俺の反応にオロオロする風間をその場に残して、俺は店を飛び出した。
そしてかずくん家に猛ダッシュ。
息を切らせてたどり着いたら、かずくんは家に居て、今日ものんきに風呂掃除をしていた。
なに?風呂掃除の当番にでもなったの?
いや、そんなことはどうでもいい。
俺は驚くかずくんの手を握って、二階のかずくんの部屋まで駆け上がった。

あとから考えてみたら、今日だって黒木華と一緒で家にいなかったかもしれなかったんだな。
でも俺は、かずくんの顔を見たらもう胸がいっぱいになってしまって、そんなことにも気がつかないくらい余裕を失っていた。