あれからしばらく、落ち着かなかった。
警察でいろいろ聞かれたり、学校の先生が訪ねてきたり、カウンセラーの先生に会ったり。
俺としてはそっとしておいて欲しいんだけど、それらはまぁ、必要なことなんだろう。
学校を休んでる間に、風間が本郷をズルズル引っ張るようにして連れて来てくれた。
「…待ってろって言ったのに」
うわぁ、まだ怒ってた。
ここはおとなしく謝っておこうと、手を合わせて「ごめんねっ」って小首をかしげ見上げると、本郷はプイッとそっぽを向いてしまった。
「そんなだから、ああいうバカに目をつけられるんだ」
そんなって…どんなだよ。
いちいち突っかかってきてホント可愛くない。
「じゃあ本郷はああいうバカとなんで知り合いなの?」
「知り合いじゃない!」
それから本郷の話を聞いて俺は思い出した。
大野さんが言ってたあの絵を欲しがった2人。
逆ギレおっさん
ガチな学生服
そうか、あいつと本郷だったんだ。
「あいつ…やけにおまえの絵に執着していて、明らかに尋常じゃない雰囲気だった。だから俺が買うと言ったんだけど、それはもうしつこくて気味が悪かった」
帰ろうとする本郷についてまわってうるさくするから、「バイトして絶対買います!」と啖呵をきっちゃったんだって。
「なんでそんなこと…」
「後には引けないっていうか、勢いだよ勢い。
だいたい俺とあのバカとの問題だと思ってたのに、おまえがフラフラするから!」
えぇー、俺なの??
「でも。話していたらこんな目に合わなかったのかもしれない」
悪かったって、急にそんなふうに謝られると調子狂っちゃうっての。
風間も「俺もそこまでとは思ってなかったからさ」とか言って謝ってくるし。
俺はううんと首を振って2人を見つめた。
「2人のおかげで助かったんだよ。ホントにありがとう」
無事でよかったと風間は頷いてくれたのに、本郷は急に立ち上がると、一言「帰る」と言い置いて帰ってしまった。
なんなの一体。
ホント難しいよね本郷って。