以下完全ネタバレ
Episode⑫
昴さんは用事があるらしく、私は一足先に宿に向かった。
△△) 「ごめんなさい!すっかり遅くなって…そっちはどうだった?」
小杉) 「それはそれは充実していたの!太泰の映画村で時代劇に扮装をしたわね」
みどり) 「小杉先輩、殺陣のパフォーマンスを食い入るように見てたんだよ~」
小杉) 「ええ。あれは勉強になったわ」
「あ、壬生寺で写真もとったのよ。見る?」
(2人とも何があったか知らないみたい。黙っておこう)
小杉) 「スバル王子はどうしたの?」
△△) 「ちょっと用事があるらしくて…あとで一緒に夕食を食べたいって話してました」
みどり) 「わ、早く来ないかな~」
小杉) 「そういえば、私たちは綾小路さんの言っていた神社には行けなかったのよ」
△△) 「ああ、あの奇跡が起こるっていう神社ですか?」
小杉) 「ええ。夕食は遅めにお願いしてあるから」
「△△ちゃん、ちょっと行ってきてくれないかしら。どうしても気になるの」
小杉先輩は住所を書いたメモを渡してきた。
みどり) 「なんだか迷っちゃって…同じところをぐるぐるまわって着けなかったの」
「宿からわりと近いはずなんだけど…」
△△) 「そうなんだ?うん、ちょっと行ってくるね」
小杉) 「カメラを忘れずにね。頼んだわ」
プルルッ…
旅館を一歩出たとたん、携帯が震えた。
(あ、昴さんだ)
昴) 「こっちの用事が終わった。今から旅館に行くよ」
△△) 「あ、これから行きたいところがあって…」
「道がわかりにくいらしいんですけど、一緒に行ってもらっていいですか?」
昴) 「そこで待ってろ。迎えに行く」
△△) 「はい」
*****
昴) 「確かこの辺のはずだ」
△△) 「住所だともうすぐですよね」
昴) 「しかし、奇跡の起こる神社ねえ…あの先輩らしいな」
△△) 「小杉先輩とみどりは迷って着けなかったみたいなんです」
昴) 「隠れたパワースポットだもんな。隠れすぎてるんじゃないのか」
「…お、ここか?」
△△) 「あ、あれ…」
昴) 「ここは…」
そこにあったのは、あの神社だった。
*****
昴) 「まさか、本当にまた来ることになるとはな…」
△△) 「あのお爺さんの言ってた通りですよね。なんだか不思議…」
*****
境内に近づくと、また霧が濃くなってきた。
△△) 「結構、霧が濃い…」
老人) 「きよったな?」
△△) 「キャッ!」
(び、びっくりした…いつもどこから現れるの…?)
昴) 「こんばんは」
△△) 「こんばんは…」
老人) 「ようきたな。2人とも、こっちへおいで」
△△) 「は、はい」
昴) 「…」
(昴さん、私の顔を見て頷いた。うん、ついていこう)
老人) 「暗いから足元に気をつけなされ。うぃっく…」
(お爺さんの足元のほうが、よっぽど危ないんですけど…)
Episode⑬
(ここは…?)
お爺さんに連れられて神社の奥に歩いていった。
老人) 「ここじゃよ」
△△) 「…わぁ!」
赤色、黄色、橙色、黄金色…
△△) 「こ、紅葉がこんなに綺麗な場所って初めて…」
老人) 「ふっふっ。ここはワシのとっておきの場所じゃ」
昴) 「そんなとっておきの場所、どうしてオレたちに教えてくれたんですか?」
老人) 「ま、あんたたちが気に入ったってところかの。そこの娘さんがくれた八つ橋はうまかった~」
△△) 「えっ…あれは神様への…」
ツンッ
(昴さんがひじをつついてきた…)
(まあ、いいか。美味しかったみたいだし)
老人) 「それに他の奴らは、来ようと思ってもこれんじゃろ」
△△) 「…?」
老人) 「さ、あんたたちも一杯どうじゃ?」
△△) 「いただきますっ」
昴) 「ありがとうございます」
私たちは、近くの木の根元に腰掛けて、お爺さんとお酒を飲みながら話をした。
昴) 「ああ、胸に迫るな」
老人) 「今宵は二十三夜。願いごとの叶う晩じゃよ」
(そういえば、小杉先輩が何か言ってたよね…?)
△△) 「願いごとかあ。昴さんはどんな願い事がかなったらいいですか?」
昴) 「あー、金、美女、出世…」
△△) 「それはもういいですって!」
老人) 「かっかっかっ!」
△△) 「ほら、笑われてますよ!本気にしないでくださいね?」
老人) 「わかっとる、わかっとる!」
昴) 「△△はどうなんだよ?」
△△) 「私は、その…教えません」
昴) 「オレと同じじゃねーか」
老人) 「かっかっかっ!」
(素敵な場所を教えてもらっちゃったし、本当に来れてよかった…)
△△) 「…クシュッ」
昴) 「寒くなってきたか?」
老人) 「すまん、すまん。引き止めてしまったの。そろそろ戻ろうか」
私たちはお爺さんに入り口近くまで送ってもらった。
△△) 「とっても楽しかったです。ありがとうございました」
老人) 「また、この老人を訪ねてくれるかの?」
△△) 「はい!」
昴) 「またうかがいます。今度はいい酒を持ってきますよ」
お爺さんは、にこにこ笑いながら何度も頷いた。
老人) 「末永く幸せにな。お別れに、この和歌を贈ろう」
△△) 「和歌?」
老人) 「君がため をしからざりし命さへ 長くもがなと 思ひけるかな」
△△) 「昴さん、それってどういう意味なんですか」
昴) 「オマエのためならば惜しくないと思っていた命だけど」
「これからはオマエのためにも長く生きたいと思ってる」
△△) 「…」
昴) 「まあ、だいたいそんな感じだ」
前を見ると、もうお爺さんの姿はなかった。
△△) 「あれ…あれ?お爺さん…?」
昴) 「さすが神様。オレの心までお見通しってことか」
△△) 「えっ…???」
昴) 「ったく、鈍感なやつだ」
to be continued……