イギリスの週刊誌”The Economist"が22018年5月10日号でJapan, China and South Korea get together「日本、中国、北朝鮮が集まって」との記事を掲載したので、2回に分けお届けすす。

 

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北東アジア地区における外交環境の急激な変化により、「ま、当然だわな…」日本は他のどの国よりも政治状況が不安定に陥りました。
ドナルド・トランプ大統領は今年3月北朝鮮の独裁者であるキム・ジョンウンと直接会談を行う提案を受け入れ、米国にとって最大のアジア同盟国に衝撃を与えました。
トランプ大統領はそれまで北朝鮮に対し最大限の圧力をかけ続けるという点で不動の信念を持っているかのようでしたが、突如方針転換を行ったように周囲は受け止めました。

 

トランプに不意打ちを食った形の日本の安倍首相は、抑えた調子ではありましたがトランプが日本との同盟関係を特段重視していないことを非難しました。

 

それ以来、韓国が朝鮮半島における外交交渉により世界に旋風を巻き起こし、北朝鮮の米国への敵対的姿勢がかつてないほど温和なものになり(5月9日には北朝鮮に拘束されていた3人のアメリカ人が解放されました)、中国はこれまでの事態の進展にあらゆる場面で関わってきたことが明らかにされるという状況の中で、日本だけが何もできずにただ指をくわえて傍観するだけの立場に置かれてきました。

 

中国の習近平国家主席はつい先日5月7日と8日にも中国大連にキム・ジョンウン総書記を迎え、2度目の直接会談を行いました。

おかげで安倍首相は5月9日に中国の李克強首相と韓国のムン・ジェイン大統領を東京に招いて自分も輪の中に加わりほっと一息つくまで、随分と待たされることになりました。

 

 

2008年に一度3ヵ国首脳による会合が行われ、以後毎年の恒例行事になるはずでしたが、実際には今回3ヵ国首脳が一堂に会するのは実に2年半ぶりのことになりました。
6月にキム・ジョンウン総書記に会う予定になっているトランプ大統領は日本にとって頼りになる存在なのかどうかわからないため、日本は中国や韓国といった隣国の歓心を買う必要性が出てきたのです。
3カ国間では歴史問題と領土紛争が原因となり外交関係が度々揺らいできましたが、北朝鮮問題とは別のないもっと現実的な理由で協力関係を模索しなればならなくなっていました。

 

3カ国が互いに協力せざるを得なくなった大きな圧力は、アジア太平洋地区におけるその役割が不確実性を増し、さらには自由貿易体制を脅す政策をとり始めたアメリカが生み出したものです。

巨大な経済成長が減速し、アメリカとの貿易戦争に火がつき始めた中国は、かつてのシルクロード周辺の海外のインフラ整備に数十億ドルの資金を提供する野心的なプロジェクトである『一帯一路』政策を推進するだけでなく、日本からの投資と高い技術力に目を向けるようになっています。
一方の日本にとって中国はアジア太平洋地区における最大の経済的ライバルですが、中国での投資機会について常に検討を行っています。