1) 2013年2月1日付け河北新報の記事だ。



柔道女子、園田監督が引責辞任 全柔連、進退伺受理


 ロンドン五輪代表を含むトップ選手15人から暴力行為とパワーハラスメントを告発された柔道女子日本代表の園田隆二監督(39)の引責辞任が1日、決まった。この日、全日本柔道連盟(全柔連)に提出した進退伺が受理された。園田監督は「こういう形でやめてしまうのは申し訳ない。責任は私自身が一番感じている」と述べた。
 全柔連は園田監督に戒告処分を下して留任させる方針だったが、同監督が1月31日に辞意を表明。全柔連の上村春樹会長は1日、「本人の意志が固いのであれば慰留はできない」と話した。斉藤仁・強化委員長は田辺勝コーチが2月の欧州遠征中は監督代行となると明言した。



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日本柔道連盟に進退伺を提出し、記者の質問に答える柔道女子日本代表の園田隆二監督=1日午後、東京都文京区の講道館



2) 2013年2月5日付け産経新聞の記事だ。



全柔連の吉村理事が辞任「妥当だと考えた」


 全日本柔道連盟の上村春樹会長は5日、昨秋まで強化委員長を務めた吉村和郎強化担当理事の辞任を了承したと発表した。記者会見した吉村氏は「強化の最高責任者が辞任するのが妥当だと考えた」と話した。

 吉村氏は強化委員長だった2008年11月、今回選手15人から暴力行為などを告発された園田隆二氏を女子日本代表の監督に任命した。




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全柔連の臨時理事会前の会見で辞意を表明した吉村和郎強化担当理事=5日午後、東京都文京区の講道館(撮影・古厩正樹)]

3) 組織に属する者が規則を守らないとか、法律を破るような行為があれば組織は名誉、秩序を維持するためにその構成員に何らかの処分を行う。一般企業で社員が飲酒運転で事故を起こせば、ほとんどが懲戒解雇となるだろう。役所、学校では懲戒解雇となるのを逃げるために本人が自己都合ということで処分前に退職願いを出すとたいていの場合には認めてくれる。一般企業で事故を起こした翌日に自己都合の退職願いを提出しても、受理されないだろう。処分逃れの退職が見え見えだからだ。自己都合と懲戒解雇の違いは大きい。前者では退職金が支給されるが、後者では支給されない。



4) 今回の全柔連の二人の辞任は、まず小出しに一人を辞めさせ世間、文科省の反応、様子をみたのだ。しかし批判が収まらないので、もう一人のクビを差し出したということだ。これで批判が収まれなければまた次に一人の人間に辞任を迫り、クビを差し出すことになるだろう。辞めた二人は自分たちは悪いことをしたという自覚も、そのために責任を取ったという自覚も全くないだろう。彼らより上にいる人間が自分たちの地位を守るために、責任を逃れるために、二人に言いくるめ辞表を迫ったというだけのことだ。コーチは辞任したが、全柔連での他の役職はそのままだ。大甘も大甘な処分だ。本人は痛くもかゆくもない処分。本来なら全柔連は彼らを除名、追放すべきなのだ。日本には下っ端の者が罪をかぶり組織とトップをかばうという責任の取り方がある。ヤクザ社会に多くみられるな責任の取り方だ。自ら組織の犠牲になり、組織をまもることで彼は一生にわたり組織の庇護が得られるのである。今回の事件で彼らの行為が組織ぐるみでなかったら、組織の長である会長が彼らを除名、追放すべきなのだ。しかし、コーチの体罰は組織から認知され、黙認されていたのである。組織ぐるみの行為に組織のトップが実行者を除名、追放できないのは理の当然だ。


追記: この記事は2/5午前に書いた。書いた直後の午後に全柔連は3人目の徳野和彦コーチのクビを差し出した。私の読み通りの展開となった。また、文科省から日本オリンピック委員会(JOC)に支給している選手強化費が年間26億円で、そのうち全柔連への配分は4億円であることを知った。選手強化費の出所は国民の税金だ。