昨年12月の自民党政権、安倍政権誕生以来の一部の知識人(文化人とも言われる大学教授、作家、評論家などを指す)の劣化は目に余る。安倍政権の右翼、保守、反動姿勢は各国のマスコミで指摘されているが、彼らはその好戦的、独善的な姿勢を全く批判せず。安倍政権の旧態依然のばら撒き公共投資による景気刺激策をあたかも新たな経済原理、経済政策でもあるかのように持ち上げる知識人にはあきれるばかりだ。公共投資で人為的に景気を刺激しても、最終消費者の給与が上がらない限り景気回復し、経済が良くなるわけ無いことは中学生でもわかる理屈だ。また国民の所得が増えないのに日銀を脅かして市中への資金貸出枠を無制限にしても、銀行から金を借りて設備投資をする企業などあるわけない。




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戦前に戦争を賛美した日本浪漫派の中心人物・評論家 保田 與重郎


また安倍政権の中国、アジア敵対政策を正当化すする、理論づけしらり、,賛美したりする 知識人がいるのにも驚く。小泉政権時代に政権に擦り寄り規制緩和を強力に推進した某経済学者が「いまの不況は当時の規制緩和が不十分だったからだ」との意見を言っているらしい。冗談も休み休み言ってほしい。小泉政権の規制緩和により日本で貧富の差、格差が急速に拡大したのだ。いつの時代にも保身と名誉欲のために政権に擦り寄り、取り入る知識人はいる。


戦前に戦争を賛美した知識人がいた。中心は日本浪漫派と京都学派と言われる2つのグループだ。文芸誌『文学界』の1942年(昭和17年)9月号、10月号に「近代の超克」という特集が載った。寄稿者、座談会参加者は西谷啓治、諸井三郎、津村秀夫、吉満義彦、亀井勝一郎、林房雄、三好達治、鈴木成高、中村光夫など当時の日本を代表する知識人。職業は作家、大学教授、評論家などなど。




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戦後に大東亜戦争肯定論を発表した評論家・林房雄。三島由紀夫に大きな影響を与えた。




彼らは日本政府のアジア侵略を正当化し、日本政府の手先となり思想的、理論的に国民を戦争に導く役割を果した。彼らは日本の中国、アジアへの侵攻はそれらの国々を西欧の植民地から解放する解放線戦争だと日本府を擁護、弁護した。加藤周一(1919~2008)さんは「アジアの民衆を植民地帝国主義から解放するのことが目的なら、英米と戦争をする前に日本が植民地支配をしている台湾をまず日本帝国主義から解放すればいい。」といった。彼らは、西欧が行き詰まったのでこれからは西欧の行き詰まりを救うのは日本だといった。加藤さんは「西欧は近代化を経て、行き詰まったという意見が出た。近代化すら実現していない日本が西欧を助けることなどできるわけはない」と言った。加藤さんは言う『日本の中だけで、誰にも聞こえないところで日本人だけが集まって「近代の超克」といっても、何の意味もない。井の中の蛙と時代錯誤、それから御用学者の権力にたいするへつらい以外の何ものでもなかった。』と。彼らの議論は加藤さんを納得させなかった。



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戦前に日本の戦争を賛美した京都学派の一人・高坂正顕京大教授



いまの安倍政権の外交政策、経済政策を擁護している知識人の意見は私を納得させない。譬え圧倒的な数の国民を納得させたとしても。劣化した知識人が政府の言いなりになり国民を間違った方向に操った例が戦前にあったが、今後は無いという保証はない。