私は住まいのある横浜市青葉区の青葉台地域九条の会に入っている。加藤周一さん他が呼びかけた憲法九条を守ろうという市民運動だ。先月の月例会で出た二つの話題について取り上げる。



1つ目。尖閣諸島、領土問題だ。ある会員が「この場で尖閣諸島、領土問題を話し合いたい」といった。私は「尖閣諸島問題は複雑すぎるし、議論が感情に流れて会としてふさわしない。」と言った。九条の仲間でも愛国心に燃えている者は日本政府が正しく、中国政府が間違っている、中国が悪いという立場を主張し、譲らないだろう。また反対の意見の人もいるだろう。そして双方の意見は平行線をたどり、お互いに感情的なしこりだけが残ることになると思ったからだ。




横浜・青葉台暮らし-SHUSSSEI
太平洋戦争(1931~945)で日の丸の国旗に囲まれ出征する兵士。妻と子供を残して出征したこの兵士は生きて帰っただろうか。日本国民はまたこのような光景を望んでいるのだろうか。撮影時期、場所不詳。




議論、討議することの意味、価値はその結果、双方の理解が深まり、各々が理解の全部、または一部を改め全体として一致する、ほぼ一致する意見を導くことにある。しかし、領土問題、愛国心については議論する前に誰しもが持っている意見、考えを討議、議論を経ても変える可能性が少ない、低いのである。議論しても対立だけ残ることが予見される話題を話し合うことの意味はないだろう。初めに日本政府が正しいの思う人、正しくないと思う人とに分けて意見の一致した集団でさらに議論を深めることをすれば価値があるだろう。政府を支持する集団では今後は日の丸の国旗を毎日掲揚しようとか、毎月一回皇居の遥拝にいこうとか議論すれば意見はすぐに一致し、纏まるだろう。




横浜・青葉台暮らし-MATUBARA
祝日に3軒に1軒が日の丸の国旗を掲げる東大阪市松原1丁目の町内。産経新聞記事から。



2つ目。ある会員が中国など海外に行って九条の活動を広めたらどうかとの発言があった。私は「九条の会は日本国内で自分たちが九条を守る活動で、海外でどうのこうのとは余計なこだ」と言った。海外に意見を言いに行くと言っても誰が、どういう立場、どういう資格で中国に出向き、中国のどういう組織と会い、どのような意見を言うのだろうか。私の意見にたいして日中韓で草の根交流をしているという女性が「自分たちは日中韓で交流している。中国に行って交流すれば効果がある」と反論してきた。私は「あなたの草の根交流で平和になると考えるのならお好きなようにやったらよろしい。しかし、私たち青葉台地域九条の会は全国九条の会を代表する資格、立場でもないので、私たちが中国に行って活動するというのは身の程知らずだ」と言った。


中国人と話し合うたびに日本人はいかにお人好しかとつくづか感じる。日本人は感情、情緒に流されやすいと思う。 イギリスの首相・パーマストンの言葉だ。「大英帝国には永遠の友も永遠の敵もない。存在するのは永遠の国益だけである」 このように国際社会で国家同士の関係は極めて冷酷なのである。国際社会は善人、お人好しでは生きていけない。



横浜・青葉台暮らし-IPPANSANNGA
毎年くりかえされる正月の皇居一般参賀。同じ敗戦国でドイツは戦前と決別し、日本は戦前への回帰を目指す。