東電福島原発事故から明日で半年が経つが、いまも福島原発からは放射能が毎日撒き巻き散らかされている。発表される土壌、食材の放射能検査データは日々、増加を示している。しかし、東電はいまも依然として旧来の体制、考え方を変えてはいない。東電の政界、官界、財界への影響力、支配力も衰えを見せない。このような状況の中で東電を批判するには大きな勇気がいるだろう。いままで東電は原発に反対する勢力を根こそぎたたき潰し、反対する学者、批評家の収入源を絶ち、抑えこみ、干しあげてきた。東電の報復の激しさと恐ろしさに多くの人が怯え、おののく。



 久保利英明弁護士は4月28日に東電を訪れJA側代理人として清水社長に農民の農作物被害の補償を求める第1回目に請求を 行った。その時のことを久保利英明著「想定外シナリオと危機管理」(商事法務)にこのように書いている。『その際に、新聞記者の一人から「企業弁護士として有名な久保利先生がなぜ企業側に立たずに被害者の農民側に付くのか」という質問を受けた。初対面の記者だったので私が企業の代理しかしないと考えていた様子であった。この質問に対して、私はこう答えた。「この事件はまともな企業対農業従事者の事件ではない。東電対国民の事件だ。私は生産者と消費者である国民の側に立つ」』と。



横浜・青葉台暮らし-toukyoukousai
左から伊藤真、升永英俊、久保利英明の各弁護士



 弁護士倫理規定の前文の書き出しは「弁護士は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする。 ・ ・ ・」とある。私は一人一票実現会運営委員をしているので毎月の会議で代表である升永英俊、久保利英明、伊藤真の三弁護士と会う。この活動を通して私は久保利弁護士を少しは知っていたので、久保利弁護士が農民側の代理人になることに違和感はなく、当然と受け止めた。一人一票の活動も、農民側の代理人を勤めることも弁護士倫理の「社会正義の実現」する立場からすれば久保利弁護士には当然のことなのだろうと。



 いまの日本は小泉改革以降、「勝ち組」と「負け組」、「豊かな者」と「貧しい者」といった格差がますます広がっている、日本から他人に対する、思いやりや優しさが失われてきたように思う。さらに日本では私利私欲を追求する傾向が強くなっている様に思う。しかし、私は一人一票実現国民会議に加わり、私利私欲を人生の目標としない3人の弁護士と出会った。世の中には地位、名声、金銭が人生の目標である人間とそうでない人間がいることを知った。私は不正、不公平を憎み、常に強い者の側に立たず、弱い者の側に立つように努めてきた。かくして、私は一部でも価値観を共有する人々との交友を好むのである。



横浜・青葉台暮らし-久保利英明
左が久保利弁護士、右が私。一人一票実現国民会議の集まりで