短期的には地震の影響により、GDPも四半期単位で前年割れがあると思われるが、東北の被害地のGDPは3県(宮城、岩手、福島)でも日本全体のGDPの4%程度なので、影響は限定的であると思われる。

一方、阪神大震災がそうであったように、歴史的に、日経平均はパニック売りされ(今回も8200円台まで下げた)、その後、落ち着きを取り戻し、中期的には内需拡大につながるので、あくまで経済的に日本は救われた(そのために多大な犠牲を払ったことは事実だが)

また、電力需要とGDPの成長率は見事に連動することは有名な話だが、福島原発問題がパラダイムシフトの起点となり、今後、連動性が弱まる可能性が高いので、いちがいに電力需要の低下がGDP低下につながるという短絡的な考え方はしないほうが、懸命。

むしろ、今後、中期的に東北復興支援策として、次々にマネーの流動性が高まることは日本経済にとってプラスにでるであろう。

資金需要は、大地震の影響もあり、何が起こるか分らないという心理が経営者に強まり、ますますキャッシュポジションを上げていくと思われる。借入とエクイティファイナンスが増加する可能性が高いのではないかと思われる。現に、CPはかなり高い資金需要を示している。

為替はプロではないが、あきらかに円高に振れており、このような状況になれば円安になるのが当然なのだが、そうならないのは(多少、円安は進みましたが)、いまだもって、日本国内から優良な工業製品が輸出されていることを意味している。しかし、あきらかに震災の影響があるのだから、何が切欠となるかは予想しがたいが、円安に向かう可能性を織り込む必要がある。アメリカ経済が復活すれば1$=110円が妥当水準だと思われるが、アメリカの実体経済自体の回復は住宅市場の下落や消化率が回復していないため、当面の間は100円割れの水準が続くと思われる。

このような前提にたつと2011年度(2011/4~2012/3)は

 経済   ⇒ ○
 金融市場 ⇒ ○(debtもequity重要も高まる)
 為替   ⇒ 円安

となるので、震災前よりも短期中期的に日本は沈む可能性は低くなった。

長期的には現在の年功序列妄想の維持は不可能なので、どこかでバーストすると思われるが、今後10年単位で起こる可能性は弱まったとみることが懸命。

このような前提にたって、私は今期の戦略を練っています。

ひとつは大きい組織ほど、新しいことに対する投資が後ろ向きになること。
もうひとつはリスクに敏感なオーナー系(要するに意思決定の速い会社)の新規投資が行われると想定される。

なので、ベンチャーのターゲットは大企業ではなく、中堅以下のオーナー系の会社であろう。