イギリスと喧嘩した。





いや、いつものことだろ。
何でこんなに俺焦ってんの?
気が付いたらまた馬鹿やってるんだよ。
つーか天下のフランシス様が何でイギリス君………もといアーサー君の心配しなきゃいけないんだ。

いつもだったらすぐ寝つけるはずなのにベッドに入って一時間。
未だに眠れない。

少しだけあいつのことを考えてみた。



「(やっば、勃ってきたかも)」

自分の中心に軽く触れてみると、少し熱を帯びていた。
それも徐々に元気になって熱くなっていった。


「(これはもう抜かなきゃダメだろ)」



ごそごそ布団の中で下着から熱くなったものを取り出す。
手を添えて先っぽを少し擦ってみると、また大きくなった気がした。

指で輪を作って竿を軽く擦りあげる。
血流が早くなり、ドクドク鼓動を打ってるのが分かる。

ふいに頭の中にあいつとの行為の記憶が流れてきた。


「んっ…何?お前ここが弱いの」

弱い場所を聞いたら恥ずかしがりながらも可愛く啼いて教えてくれて。


「あん…そこっ……ひゃう」

名前を呼ぼうとしたらそれが喘ぎに変わって。


「フラ…んぅ………もっとっあ」


滅多に言ってくれない言葉をたくさんたくさん言ってくれて。


「はうっ…す…きぃ、大すっ……き」



「も、イくぞっ……」


イく時はいつも一緒。
超可愛すぎる。


「ひうっ…、んっふぁああっ………」


終わったら急に態度変えて、布団被って寝ようとしやがる。
ぼそぼそ言う本音が嬉しい。


「もっと優しくしろよ…………ばか」


毎回くれる世界一の「ばか」
これが何でか心地よい。


一週間に一回は必ずしてたっけかな。
忙しくても仕事合間を縫ってどちらからともなく会いに行く。


「っ………」

あいつのこと考えてしてたらすぐに限界がきた。


「っう……アーサーっ……!!」


抜いた後はすぐに冷静になる。
何してんだろ俺って、後悔の念が押し寄せる。
あいつと喧嘩したのに。
お前なんか知らないって言ったはずなのに。
足りない時に考えるのは君のことばかり。


「(とりあえず拭かなきゃな…)」

ベタベタのまんま寝るわけにもいかないから、ベッドからティッシュが置いてあるテーブルまで歩く。
今した行いのせいか目は覚めまくっている。
暗闇にだって目も慣れている。

ティッシュを5、6枚手に取り自分のと周りを拭く。
拭いてたらまた後悔。

「(あいつなら舐めてきれいにしてくれんだろうな)」

舐めている姿を考えたら、また元気になってきた。
いけないいけない、他の事考えなきゃな。


………。


………。


どれだけ気を紛らわそうとしてもすぐに戻ってしまう。
これは重症だな。


「俺の頭ん中はあいつでいっぱいいっぱいかよ…」

苦笑しながら癖のついた髪をかきあげる。
少し汗ばんでいた。



─ピンポーン─



今、何時だと思ってるんだ。
夜中だぞ、夜中の1時っ。

「(眠いし無視し


─ピンポンピンポンピポピポピポ─


何て非常識な客だ。
べったべた足音を響かせフローリングの床を歩く。
靴も、サンダルもどっちも履くのが面倒になり裸足で大理石を踏みドアを開ける。


「だあああ誰だよこんな時間にっ…!?」


抱き着かれた。
抱き着いてる人物は泣いているのか、顔を埋めている俺のシャツが濡れている。

「……アーサー君?」

身長からしても、髪型からしても9割の確率でアーサー君だな。


「………どしたのこんな夜中に」
「ぐすっ…だって………」

よく見ると寝間着だし、靴も履いてない。

「お前にっ…嫌われっ…っ…たの……えぐっ……やだ」
「それでわざわざ来てくれたの?」

まるで赤ん坊をあやすように、背中に手を回し、反対の手で頭を撫でてやる。

「悪いかよっ…ばかぁ!!」

いきなり顔をガバッと上げて、口から出たのはいつもの罵声。
でもいつもの罵声と一緒。
本当の意味は違うことを俺は知ってる。
涙で顔くっしゃくしゃだよ全く。
可愛い奴だなぁ、本当に。

「全然悪くない…」

嬉しくて、腕の中にいる愛しい人を抱き締める。
震えている。

「俺のこと嫌い?」

口には出さず顔を横に振り、俺の問いに答える。

「嫌いじゃっ…ないっから………も…嫌いとか言うなっ…んん」

たまらずキスをした。

「んんーっ…ふ…ぁう…んぁ」

1日だけ話せなかっただけなのに足りなすぎて、必要以上に口内を貪る。

「っは……ん」

名残惜しいけど唇を離すと、銀の糸が互いの口を繋いでいた。
とろんとした表情で下から俺を見上げる。
さっき抜いたはずなんだけど、また元気になっちゃったよ。

「なぁアーサー」
「な、に?」

「知らないって言ったの取り消し。無しにして?」

肩に顔をうずめ、さっきより強い力で目の前の君を抱き締める。

「俺も……嫌いって言ったの許してくれる?」
「うん、お互い無しにしよう」

パアッと顔が明るくなった。
このたまに見せる笑顔に惚れたのかな俺。

「よしっ…それじゃあ」
「え…何すっ…んだよ?」

ひょいっと身体を持ち上げ、お姫様だっこしてやる。

「決まってるだろう、今日の分を今からやるの」
「ちょ…おまっ」
「その為に来たんだろ?」
「~~~!!!!!」

ジタバタするアーサー君を無視して、寝室へ連れていく。
ここからは俺等だけの時間だからみんな邪魔しないでね。


大好きだけど恥ずかしくて伝えられないから、嫌いと言ってしまう。
でも本当に好きだよ?
わかってるよ。
だって俺等ずっと一緒だもん。




「お疲れ様でしたー」


仕事を終え一人、また一人減っていく。
大勢いた社員もこの時間には佐伯と御堂だけだ。

「帰るか」
「後、もう少し…」

克哉の恋人は少し仕事を優先してしまうクセもある
可愛い恋人だ。
少しキーを打つ音も早くなり自分も自分の周りを片付け始める。
今日は早く帰って早く御堂を抱き締めたかった。
それに、御堂を喜ばせる準備も──
ちょうど頃合いだろうと、チラリと時計を見る。
先ほどから時計を気にしすぎていたのを気付かれたか、御堂がこちらを見る。

「何か用事でもあるのか?なら私なんか待っていなくとも先に…」
「いや、今日はあんたを早く抱きたいんだ。一人で帰ったら寝てしまうからな」

今日もだがたくさん疲れが溜まってる。
だが今日ぐらいしか暇がない。
明日からは重要な取引の予定が朝から入っている。
だから御堂を抱けるのは今日ぐらいだ。

「…そうか」
なら、急がないとな…と口にしながら目の前の資料との睨み合いっこがまた始まる。


結局御堂の仕事が片付いたのは30分後くらいだった。
その間も克哉は時計を気にし、それを気にする御堂がいた。
だがそれもようやく終わり。
そそくさと荷物をまとめ、会社の上にある自分たちの家へ帰って行く。

「佐伯、今日は何をそんなに急いでいるんだ…?」
「さっき言っただろ」
「だが…それなら…」
そこから口を摘むんでしまう。
「何ですか?あのまま会社でシて欲しかったんですか」
家の鍵を開けながらニヤリとこちらを見て笑む。
「ばっ…そんなこと」
顔を赤らめながら
「ひ、否定はしないが…」

そんな可愛いことを言われたらこちらの身がもたないな。
と再認識しながら靴を適当に脱いで
目的のものを取りに行く。

「……?さえっ…うわっ!!」

御堂の目の前にいきなりボトルが飛び出てきた。
「これは…ボジョレー?それもそこらのものとは全然……」
「そうです……アンタなら知ってると思ってたんですが」

銘柄を見つつチラリとこちらを見る。
「今日解禁日ですよ?」
「…すっかり忘れてた」

まだ驚きを隠せず口をポカンと開け、目が明後日を向いている。
「だから今日は早く帰りたかったんです」
「佐伯…」

御堂は佐伯のこういうところに弱い。
いつもは強がって、見栄っ張りだが
たまに細やかな優しさを見せてくれる。
そんなところに惹かれたのだろうと、実感する。

「じゃあ今日は飲み明かしましょうか?」
ボトルとグラスを2つ持ち笑みを投げる
「そうだな…ありがたくいただこう」

カチンという音ともに喉を潤すのは
ほんのり甘い赤い液体。
疲れが飛ぶぐらいの美味しさで
なおかつ優しい恋人のおかげで何もかもよくなる魔法の液。
どうせご褒美を迫られるんだろう。
そんなことを考えながらグラスを回す。
月明かりに照らされた赤い液体と二人の男の影は
混じりあうように溶けていった。

カチンと音が鳴った時から私はすでに魔法にかかっていた。



「ねぇ御堂さん」
「何だ佐伯」
「………」


むすっとした表情でこっちを子供っぽく睨んでるのは愛しい恋人。

「…?どうした」
「……呼び方」

言われて気づいた。
この前佐伯にたまには名前で呼べと言われて
最中に一度呼んでやったら
普通の時も名前で呼ばなきゃ返事しない。
なんて子供っぽいことを言ってたな。
ぶすっと頬を膨らませこっちをジーッと見ている。
つい悪戯心が出て、そのまま

「佐伯は佐伯だろう」

と言ってしまった



あれが悪かったのだろうか


それ以来佐伯はずーっと私のことを無視し続けている。
仕事でも必要最低限の内容を話したら、そそくさと出かけるか部屋に閉じこもってしまう。
さすがに悪いと思って謝ろうとするが、佐伯に避けられてしまう。

「ただいま」
部屋のドアを開け、中を見ると

私に気づいた佐伯が新聞を片付けて寝室に行こうとしていた。

「明日のプレゼンは11時からになったんでよろしくお願いしますね」

なんて社交辞令な会話だろう。
自分がしてしまった過ちに胸が傷んだ。

「佐伯っ…」
腕を掴んだが佐伯の表情は重かった
「…何ですか。まだ用でもあるんですか」
溜め息をつきながらこちらを振り返り言う。
もう1週間もしてない。
それだけで辛いのに、こんなに冷たくされたら身が持たない。
涙が出そうなのを歯を食いしばって堪えた。


「私が…悪かった…」
やっと言えた謝罪の言葉。
「何のことですか俺は別に怒ってませんけど」
もう涙が絶対溢れる、そんなくらい限界だった。

「克哉……っ…ごめんなさ…」
無我夢中だった。
目の前にいる佐伯の胸に顔埋めて、何度も名前を呼び謝る。

「ごめっ…克哉、克哉………」
急に顎を持ち上げられ、佐伯にまじまじと顔をみられる。
きっと今の顔は目も真っ赤でくしゃくしゃなんだろう。
羞恥で死ねそうだがそんなのどうでもいい。

「本当に」
「ふえっ…?」
「本当に、悪いと思ってるか」
また涙が目に溢れてきた。
「ごめん…なさ……克哉って呼ぶから」
もう何言ってるのか自分でもわからない。
「克哉……ぐすっ意地悪……しな…いで」

佐伯の顔が驚きに満ち、唇に熱くて柔らかいものがあたった。
「んっ…ふぅ…あ」
久しぶりの味に脳も下も全身が痺れた。
夢中で佐伯の舌を求めて口内に侵入する。
それを迎え入れるかのように佐伯の舌が絡まってくる。
唇が離れると、重力に従って唾液が床に落ちていく。


「あんたが悪いんだぞ」
「でもっ…」
「でも、なんだ?」
俯いた顔を覗き込まれる。
「職場でも…どこでもは恥ずかしい……」
「俺は恥ずかしくないですよ。どこでもあんたのことを名前で呼べる」
「それはお前だからっ…」
「孝典」
不意討ちで耳元で囁かれ、ぴくんと反応してしまった。


「なら仕方ないですね、二人きりの時は絶対名前で」
細く長い指でまだ濡れている私の唇をなぞる。
「わかりましたか?」
「…わかった」
その姿にですら欲情しながら、隠すかのように目を背ける。
「じゃあ行きますか」
「…………どこにだ?」
急に佐伯が腕を引っ張り出した。
「決まってるだろ、ベットだ」
キョトンとした顔で見ると。
克哉もキョトンとした顔になって
すぐにむっとして

「嫌ですか?」

なんて言うから、可愛くて仕方ない。
「いや…むしろ嬉しい」
それを聞いたら満足気に
「じゃあこの1週間の埋め合わせしてもらうからな」
と黒い笑みを浮かべた。
苦笑しつつも
少しの恐怖と期待を胸に、部屋へと歩き出した。