セルフライナーノーツ、後半です。まずは前半からどうぞ。




5.もしも魔法が使えたら ―――――――――――――


6月のワンマンで、一番人気が高かったのはこの曲かもしれないというほど、皆さんに気に言っていただけた曲ですが、実はむしろ予想としては人気でないと思っていました。

すごく主観的な曲だし、でもそれはそれでいいかなと思っていたの。


でも実際に披露してみたら、状況は真逆で、こんなこともあるんだなと思いましたね。


アレンジとしては実は完全にお任せ。お任せパターンは珍しいんですが、自分の手から離れてどうなるから見てみたかった曲でもあります。

ただアレンジ以前から声に対するエフェクトのイメージはありましたから、エフェクトはこだわったかな。

理想へと近づける作業を何度も繰り返しました。一番エンジニアさんのアイディアがちりばめられた曲でもあって、Dメロ後半部分のエフェクトもすごくかっこよくなりました。


ちなみにあそこは歌もこだわりました。あえて感情を入れずに歌うというか、カタカナっぽく聞こえるように歌いました。(歌詞カードもカタカナにしようか迷いました)歌であって歌じゃなく、ただの音になるようにね。そこからいきなり気持ちを戻すところがポイントです。


この曲はすごく主観的な曲で、夜中に書いた手紙的なところがあるわけですが、な割に最後はあっけないほどあっさり終結するんです。こんだけ怒ってるのに最初から許してた、みたいな感じね。あっさりメジャーなコードで終結します。でも、恋ってそういうものでしょって、そんな曲なんです。



6.今でも ――――――――――――――――――――


「今でも」と、「もしも魔法がつかえたら」はすごく対極的!!こっちのほうが人気出るかと思っていましたから。

でも個人的にはすごく好きな曲です。

いやたぶん、すごく風香今宵って感じ。笑 昔の自分が作ってそう。笑


私はAメロBメロサビを作ってからくっつける事が多いんですが、くっつけてみたらくっつかないことが多々あって、そういうときに必殺技として転調させてくっつけます。この曲はまさにそう。サビで強引に転調させていますが、それがいい味を出しています。ドラマを生んでいる、と思う。


昔、転調強化月間があって(自分の中で)曲の中で転調させる曲ばかり意識的に書いていたことがあって、そんなころ書いた中の一つが「Depend on you」。あの曲もサビが転調しているんですが、あの頃は転調させたはいいが戻ってこれない事件がよく起きました。


当時の歌の先生に「転調したら戻ってこれなくなった!」と真顔で言える生徒でしたが、いろんな曲をもっと聴いて研究しなさいといわれ、研究した結果、世の中の流行っている曲も強引に転調させて強引に戻ってきているじゃないか!と、若かった私は思った事を覚えてる。だからDependなんかは戻り方が強引なんです。それに比べてこの曲は戻りがスムーズ。自分成長したなって感じです。笑


曲の世界観は、全部を通して話が展開していくタイプの曲で、サビの歌詞も全然違うから歌い手泣かせ。

でもこういうちゃんと聞かないと伝わらない曲が好きだったりします。キャッチ―な曲ばかりじゃつまらないものね。

すごく普遍的な恋愛のワンシーンを書いたつもりで、女性の方には共感していただける曲になったつもりですけど、でも最後はちゃんと芯が通ってて、答えを出せる感じが私らしいんじゃないかなぁと思います。


生楽器のアレンジの「恋に落ちて」と、2曲で違う印象になるように、歌のアプローチだけでなく、歌や楽器の音も工夫を凝らしました。私の作業ではないですが、ミックス作業は一番こわだって時間をかけていただいた曲。私好みのかっこいいサウンドになりました。まさに音に注目してほしい曲です。


7.Answer? ――――――――――――――――――


この曲に関しては、DVDのインタビューで制作に関しての思いは語っているのでぜひそっちを見ていただきたいんですが、

もっと音楽的な単純な制作秘話としては、「サビが短い曲が作りたい」というテーマがありました。それこそ「今でも」とは対極で、サビがめちゃくちゃシンプルで短くてキャッチ―で、そういう曲でいかにメッセージ性の強い曲が作れるかという挑戦。

結果としてはすごくお気に入りの曲が作れました。作曲という意味では新しい扉をあけられた曲になりましたね。


後はなんといっても、1番と2番で大きくアレンジを変えたこと。メジャーなアーティストさんはなかなかシングル曲でこういうことは出来ないですからね。テレビサイズは今や1分半とかですから。

でも、実は昔からずっとやりたかったことで、今回この曲で最初からこれでやろうと思っていました。イメージが最初からすんなり作れたんです。


でも実際いろんな曲を聴いてもやっぱりなかなか参考になるような曲がなくて、やっぱこういうアレンジって少ないんだ!と。でも自分のイメージを頑張って伝えて、アレンジしあげていただきました。

後半の疾走感のある感じが自分でも大好き!ひとつの作品として、完成度の高いものが作れたんじゃないかなって。間奏のコーラスもすごく気に入っています。



8.約束 ―――――――――――――――――――


このアルバムのために書き下ろした新曲です。

珍しく、完全に詞先で書いた曲で、だから言葉尻とかニュアンスがすごく納得いく形にできました。


この曲ができたとき、「約束」って言葉がかなりしっくり来たんですよね。アルバムタイトルとしても。

「約束」というのはすごく色々な想像が膨らむ言葉だなって思います。それが、恋愛に特化していないところも、そして一対一のニュアンスが出せるところも、少し秘密めいた感じがするところも素敵。


アレンジもこだわって、細かく指示を入れた作品です。

Bメロのところがすごく好きなんだけど、膨らんで、広がっていく感じを、アレンジと、歌のエフェクトと、歌そのものが掛け算されて作れたのが、よかったなって思います。


いつも作品作りにおいて、歌以外の部分(前奏であったり間奏であったり)へのこだわりがまだまだ甘いなと感じていますが、この作品では一歩進めた予感がします。



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最後に。


「message」はボーナストラックということで、ここでも割愛です。


これからも変わらない友情を約束して。


to C.K from Mieko.


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たくさんの曲たちが、皆さんの中でいつまでも生き続けてほしい。


そしていつまでも歌い続けていられますように。



佐藤実絵子*