「やっぱりね。その1人が誰かまでは聞かない」
さあ意味深なО君の言葉、これだけの言葉ですが、私にはもう既に次の段階のイメージ図が描かれていました。
つまり、私をフッたにも関わらず、神の悪戯で同じ高校、同じクラス、同じ吹奏楽部になってしまった元カノさんのことを、О君は好きになった訳です
前に書きました通り、О君は私が決死の思いで吹奏楽部に入らないと誘い、入部してくれた漢気のある友達です。
中学時代は陸上部だったにもかかわらず、まだ走れるけどこれ以上膝を悪くしたくないとの理由で、元々高校では陸上をやるつもりはなかった、そこへ私が吹奏楽どう?と声を掛けて来たので、その話に乗った、という感じなんです。
クラスで私の後ろ側にいたということは、私の元カノさんとも隣の列になるわけで、ひょっとしたら入学当初から元カノさんのことを好きだったのかもしれません。
そして吹奏楽部に入ってみると、О君の好きな女の子がクラリネットを吹いてるわけです
私みたいに奥手なら別ですが、普通なら
「これは絶好のチャンスだ」
ってなりますよねぇ(苦笑)
多分、今だから冷静に振り返れるんですけど、この江田島合宿中にО君は私の元カノさんに告白したんじゃないかと思うんですよね
でも断られた…
О君がなんで?と理由を聞くと、どうやらミエハルってヤツと中学時代に付き合ってて、元カノさんとしてはミエハルの存在が気になるから、付き合うことまでは出来ない、みたいに答えたんだと思います。
そ・こ・で・!
江田島からの帰りの船のデッキに呼び出され、気になる女の子はいるかと問い質された訳です、私が(苦笑)
私はしばらく悩んだ後に、
「1人だけおる」
と答えたわけですから、実は大体の流れを掴んでいたО君にしてみたら、点と線が繋がった、という感じだっただろうな~と思います
実に男心って幼いようで複雑で、もし私をフッた元カノさんと、別の高校…とまでは言いませんが、別の部活だったら、こんな悩むことなく、
「いない」
と言っただろうと思いますね
この頃の私の心の中は、元カノさんに対する近親憎悪みたいな感じになってました
絶対にしゃべらない
絶対一緒の車両には乗らない(←“国鉄”で2駅、電車に乗らないと通えなかったんです)
近くに元カノさんがいたら、ワザと難しい政治の話とかしてやる(←ち、小せーっ)
…でも心の何処かではヨリを戻したいと思ってる…
青い男子高校生の、変な意地と心の奥底の葛藤です。
入学以来、ずっとこんな感情を抱いてましたので、そこへ新たな登場人物が絡んでくるとは、想定外でした。
吹奏楽部で練習してても、パート練習だとバラバラになるんですが、木管だけの分奏、全体の合奏になれば、当然元カノさんの存在が目に入ります。
正直に言います、意識したくなくても、意識してしまうんです
クラスでも、絶対しゃべらないとか言っといて、元カノさんが何かしゃべってたら、つい聴き耳を立ててました
これが思春期の男子(フラれた側)の思考回路ですよ、皆さん(笑)
最近のフレーズで、恋愛は、男子は別フォルダに保存、女子は上書き保存なんて聞きますが、当時の私も、新しい好きな女の子でも出来れば気持ちは別フォルダへと変わったかと思うんですが、環境的に未練をスパッと断ち切れる状況になく(笑)、延々と複雑な元カノさんに対する思いを持ち続けたままでした。
そしてある日、とどめが刺されます
…to be continued…