11月コラムは
流通科学大学 人間社会学部観光学科ホテル・ブライダルコース准教授の道前美佐緒先生が書いてくださいました✍
道前先生はブライダル業界のプロ。1,500組以上の結婚式を担当するほか、
ブライダルに関する専門家としてNHK『チコちゃんに叱られる』などさまざまなメディアで結婚式や婚礼について解説なども行っています。
今回のテーマは、「親と結婚」
子どもの結婚
結婚式場でのあるご家族の一場面です。
結婚が決まったカップルと、新婦様のお母様の3人で、式場の予約に来られました。和やかにチャペルや披露宴会場を見学され、いよいよ結婚式の日時を決定して予約しようというその時！
お母様が急に泣きだして、大きな声でおっしゃいました。
「いや～。お母さん、まだ、あなたが結婚するなんて、受け入れられない～」
子どもの結婚、それは、とても幸せなこととはわかっていても、心の準備がまだできていなかったのです。
こうした光景は、意外に多いものです。
子どもの前では平静を装っていても、子どもが席を外した時に涙ぐんだり、新郎と目を合わさないようにしたり。
まだ、娘と一緒に旅行を楽しみたかった。
家を出て行ってしまうのがさみしい。
その人と結婚して、本当に大丈夫なのか。
苦労しないだろうか。
義理の息子（娘）と、どう接したらよいのだろう。
「より良いお相手？？」
結婚が決まっていても、これだけ心配なのですから、これから人生の伴侶を探す「お見合い」となると、親の心配や気苦労は益々大きくなります。
「転ばぬ先の杖」と言わんばかりに、色々と口を出したくなるものです。
「より良いお相手を」と思うのも、親心。
でも、「より良い」って、何を基準にすればよいのでしょう？
実家の近くに住むこと？
学歴や年収？
ご家族構成？
趣味？
「自分の気持ち」→「互いの気持ち」→「親の気持ち」
それは、会ってみなければわからない。
「本人」にとって「良い人」であることが大事ですが、
自分に合った人なんて、「本人」にも、なかなか判らないものです。
だからこそ、先ずは、ご縁があれば会ってみて、そして、時間をかけて、「お互い」にとって良いと感じる、そんなタイミングを待ちましょう。
「2人なら、やっていけるかも」と、少しの予感がしたら、その気持ちを親御さんに伝えてみるといいでしょう。
最初から、親の意見ばかり聞いていると、自分の判断ができなくなってしまいます。でも、ドキドキの恋愛感情から、もう一歩、信頼関係を深めていく段階に進むときに、親や友人といった周囲の方々のご意見も大事ですね。一歩、一歩、進めていきましょう。
互いを理解する工夫
さて、はじめにお話ししたご家族は、どうなったでしょう？
無事に結婚式を迎えられ、その日は、お母様も晴れやかに、心からの笑顔でいらっしゃいました。
親への結婚の申し入れの挨拶、両家の親の顔合わせ、結納、結婚式までには1年近く時間があります。
その間に、多くのカップルは、お互いの親御さんとの信頼関係を築き、また、両家の親御さん同士が仲良くなるために、色々と工夫をされています。
親の顔合わせの時に、手作りの家族のプロフィールブックを用意されたカップルもいました。親の趣味や、出身地などを書いて、互いの親の会話が弾むようにされていました。
自分たちのことをできるだけ知ってもらい、理解してもらおうとするのです。
そうです。親御さんの不安は、
「相手のことを知らない」ところから生まれるのです。
それは、本人にとっても同じこと。
だから、自分の親とも、不安を分かち合い、一緒に、焦らず、ゆっくり進みましょう。
そして、人と理解し合うためには、自分の気持ちをまず、理解すること。
自分の気持ちを大切に。
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