ビスコのきょうだいは他にも2匹いた
3匹は母猫にくっついて
または
母猫の監督が及ぶ範囲で
あっちこっち駆け回り跳ね回って
遊んでいた

私は家の庭を歩き回る野良猫たちに
名前をつけて
ビスコの母猫をふさこと呼んでいた
勝手に名前をつけるだけだから
呼んでも応えはない

ある時から
3匹いた子猫のうち2匹は姿を見せなくなり
ビスコだけが残った
母猫ふさことビスコはいつも一緒だった
ビスコにはふさこしかいない
ふさこはビスコに獲物の獲り方を、
生きる術を、
教えた(はずだ)

いつも一緒に移動して
ときには追いかけたり逃げたり
いつも一緒に昼寝して
ときにはなんだよ何するんだよお母ちゃんとばかりに反抗したり

そんなんだったのに
いつ頃からかふさこの姿が見えなくなった
ビスコがいつもひとり、というか1匹なのだ
ふさこ、どうしたんだろう、、
子離れってこんな早かったっけ?
ビスコはチビ(このとき3ヶ月くらい)だけどけなげにひとり、いや1匹で頑張ってた、1ヶ月もの間
そして
寒さが厳しさを増す1月の末
ふさこがいなくなり
ひとりになったビスコは
廊下から庭を眺める我が家の猫たちに
ガラス越しにからだを擦り寄せてくる
何度も何度も

意を決した私は
餌を食べにきたビスコを
ガシッと捕まえたのである
しかし簡単に捕まえたわけではない
4ヶ月の野良猫生活で
野生本能と警戒心を磨いているのだ

ウチにはもう3匹いるしと
少しは悩みもしたが
チャンスは来てしまって
ガシッとビスコを捕まえたのが朝

そして昼過ぎになって
道で猫が死んでる、お宅の猫じゃないかと
近所の人がやってきて
ちがう、ウチの猫は外には出さない
といいつつも見に行くと
道で亡くなっていたのは
ふさこだった

ふさこに、
ビスコを託されてしまった、
そう思った


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ビスコ=ヴィスコンティの略
    お菓子ではない