山暮らしのおはなし(つづき)





山の夏は短い


朝夕はすでにひんやりと肌寒い


虫の声だけが夜道に響いている






些細なことで夫とケンカになり


犬だけ連れて 家を出た



怒りにまかせ ずんずん歩いているうちに


やっと気持ちも落ち着いてきた






「こんな夜に散歩か」



びっくりして飛び上がる



彼だった




「心臓止まりそうだったよ」



「だって ひとりでぶんぶん歩いてっからさ」



ふふっと笑った




3か月ぶりに会った彼は


日焼けして精悍な顔立ちだった




「オブジェありがとう


お礼いうの遅くなったね」




「ああ・・・ 受け取った?


ずっと東京行ってたし 


山に帰ってきたら寒いな」




「作品展すごいね おめでとう」




実はひっそり観に行った





「や たまたま良い機会があって 


なんとかがんばった」



彼のことば通り とてもとても素敵な作品展だった





「じゃあまた」



「どこ行くの 湖の方?


おいらも行くよ」





ふたりで草っ原をがさごそかき分け


ずんずん歩く


犬が一番早い


ここだよ ときゅんと吠える





「おおっ きれいだなー・・・」






夜の湖は しんと静まり返って


満点の星空や月までも照らしてくれているように


しずかにきらきら輝いていた




岸辺にそっと座る






夜空と自分とこの景色がひとつになり


なにかに抱かれているような一体感


とても清々しい







「なんか 安心するな」



彼もおなじように感じているみたいだ







こんな瞬間があるなら



人生あとはおまけでもいいと思う







「あーすっきりした」


「なにが?」


「別に さ 帰ろう」


「ふん」




「オブジェ ほんとうにありがとう」



そう告げると 


下を向いてほほ笑んだ





立ち上がると


彼から日向の草のような匂いと


夜露の香りがいっしょになって


ふわりと鼻をくすぐった






ワン!


こっちだろ!


犬が先頭立って尻尾を振っている





微かな家の灯りを目指してふたりで歩く



最高の散歩だった










    ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇






Aちゃんも記事にしてたけど


私も最近ずっと full of love を聴いてます



Aちゃん~♪  私のfull ・・・のイメージこんなのですヾ( ´ー`)




智の声って


艶っぽく透き通ってて美しくて


でもふと聞き流していたりします


心を掴まれるのに


スーッと聞き流せるぐらいの心地よさ


こちらにぐいぐい主張してこない


聴きたいときには 耳を傾けてみてよ


みたいな感じなのかな