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俺と美月は、毎晩海辺で過ごした。俺だけが知る美月。俺のキスや愛撫に恥ずかしげに応える、可愛い女。俺たちは、何度も何度も、唇を重ね抱き合った。夏が過ぎようとしていたが、2人とも気付かないふりをしていた。
ある日、美月の女友達が訪ねて来て、
「……が帰ってきたよ。会いたがってるけと……」と、俺をチラチラ見ながら美月に話している。
「ちょっと、出かけてくるね」
そう言って、美月は夕方まで帰って来なかった。
そろそろ夕食の準備にかかる頃、美月は男に送られて帰ってきた。どうも幼馴染みらしい。宿の前で別れた後、男をそっと見送る美月の顔は、夜、浜辺で俺だけにみせる表情を覗かせていた。
その晩も、俺たちは浜辺にいた。
「あの男が好きなんだろ」
「付き合ってたのか? 今も?」
「今日、2人でなにをしてたんだよ?」
俺の口からは、美月を責める言葉しか出てこない。
「違う……好きだったけど……今は……」
「話していただけよ。それ以上は何も」
「それ以上って、何だよ?」
「何って、私にはわからないわ。あなたが勝手に想像してるんじゃない」
「あなたが好きなの」
俺をまっすぐに見つめる瞳を信じたい。
でも……
「あんな目であの男を見てたのに、信じろって? 無理だろ」
「今も好きなんだろ、言えよ」
「ちがう。ちがうの……私は、あなたが……」
「お前を置いて島を出た男なんか、さっさと忘れろよ」
「……‼︎」
「あなたは違うの? あなたは、この島に残るの? 大学はどうするの?」
「あなたも一緒じゃない! さっさと帰ればいいのよ」
夜の浜辺の可愛い美月ではない、昼の顔の美月。勝気な瞳。でも、震える肩。
俺は見えていたのに……気付いていたのに……知らないふりをして、
「そうだな。夏休みも終わるし、さっさと帰るよ」
そう言い放ち、美月を1人浜辺に残した。
俺は予定を切り上げ、3日後には客船に乗っていた。
美月に溺れていたからこそ、許すことができなかった。
それでも、何度も連絡しようと思い……でも、出来ずに時は過ぎ……
いつしか、日常の中で苦い思い出に変わり……思い出の1つとなり……
すっかり忘れた頃、夢に入り込み俺の心をかき乱す。
(俺はなんて、子供だったんだろ……)
(今なら、もっと上手くやれたのか……)
なんて、心にもないことを思ってみる。
今夜、美月もまた、誰かの腕の中で寝ているのだろうか……あの男か、別の奴か……誰でもいい、誰かの温かい胸の中で安らかに寝ているならいいさ……