籠池夫妻を詐欺の疑いで、大阪地検特捜部が逮捕しました。
籠池氏は三月の国会証人喚問で「神風が吹いた」と証言していました。
神風が吹いて、国民の財産である国有地が格安で売却されてしまうなら
納税者はとても納得できません。
検察が「神風」の真相に迫ってくれればいいけれど、神風をうやむやにしてしまうなら
疑惑の全容は解明できません。
★★★真実は永遠に闇の中
今日から安田弁護士について見ていきます。
●この事件は住管、警察、検察によって作られた事件です。
1999年3月3日東京地裁104号法廷
約90席の傍聴席は報道陣や市民でびっしり埋まっていた。
弁護人席には元日弁連会長の土屋公献を筆頭に約40人の弁護士がズラリと並んだ。
この弁護団に参加を表明した弁護士は、全国で1250人、戦後最大規模と言われた松川事件
弁護団を上回る。
弁護士の安田好弘が現れた。
その両手には銀の手錠が光っていた。
以前黒かった髪は真っ白に変わっていた。
長期間の拘置所暮らしは、想像を絶するほど辛いものらしい。
安田はオウム真理教の麻原の主任弁護人である。
前年の12月顧問先の不動産会社スンーズコーポレーションに資産隠しを指示したとして
警視庁に逮捕された。
安田が証言台に立ち、静まり返った法廷に安田の声が響く。
「私は無実です、起訴状に書かれている行為をしたことはありません。
ここでどうしても言わなければならないことがあります。
それは私が無実であるばかりでなく、共犯とされている孫社長らスンーズ社のすべての
皆さんが無実であるということです。
そしてまたこの事件が、住管、警察、検察によって作られた事件であるということです」
安田の罪名は債権者の差し押さえを免れるため、資産を隠したという強制執行妨害です。
スンーズ社が持つ賃貸ビルのテナント料を、差し押さえられるのを防ぐためスンーズ社に
ダミー会社を作った総額二億円あまりの賃料隠しを指示したというもの。
それまでの報道では、安田が住菅の債権回収を妨害した悪徳弁護士のはずだった。
住管の告発で警視庁が摘発した事件なら、誰でもが住管の債権回収を妨害したと思う。
ところが検察のいう賃料隠しがあったのは、まだ住管が債権回収を始める前のこと。
つまり住管はなんの被害も受けていないことになる。
なのになぜ住管は安田を告発しなければならないのか。
●デッチあげに負けてたまるか。
安田の法律事務所は地下鉄赤坂見附駅から歩いて7,8分の裏通りに面した雑居ビルの五階にある。
そこに在日華僑の孫忠利が青い顔をして駈け込んできたのは、98年10月5日だった。
「スンーズが警察に摘発されるって噂を聞いた、どうしたらいいのか」
スンーズとは孫が経営する従業員10人程度の有限会社。
バブル崩壊で経営が事実上破たんし、800億円の負債を抱え込んでいた。
安田が住管本社を訪ねたが、告発の動きはないという。
しかし、将来の告発を回避するために住管への債務返済を急いだほうがいいと思った安田は
スンーズの国内外資産を売却し、2カ月以内に60億円程度を返済すると約束した。
ところが10月16日住管はいきなりスンーズとの交渉打ち切りを宣言、孫らを警視庁に告発した。
話が違うと住管常務の黒田純吉に猛然と抗議したが、黒田は突っぱねた。
安田がオウムの麻原の主任弁護人になったのは、この黒田にさんざん口説かれたためです。
自分は極悪人、麻原の弁護はしたくない、、、、世間に悪徳弁護士というレッテルを貼られる。
だからそれを安田に押し付けておいて、その安田を今度は告訴した。
酷い男です。
10月19日孫らスンーズ幹部4人が強制執行妨害容疑で警視庁捜査二課に逮捕された。
その6日後、安田もまた捜査二課に呼び出された。
「スンーズの賃料隠しについて、話を聞きたい、あなたは被疑者である」
突然の通告に安田は開き直って
「今日逮捕するつもりなのか、逮捕するなら早くしろ」
安田が逮捕されたのはその8日後だった。
12月6日午後、麻原弁護団の打ち合わせ会議を終えた直後、捜査員に任意同行を求められた。
午後4時半警視庁で令状を執行された。
「やつらは俺を狙い撃ちしてきた、デッチあげに負けてたまるか」
●自殺防止房の安田 絶対絶命の窮地
翌朝の朝刊各紙は、安田の逮捕を大見出しで伝えた。
翌99年1月始め、安田は警視庁から東京拘置所の独房に移された。
天井にテレビカメラの監視がついた「自殺防止房」である。
以後、5カ月間カメラは安田の一挙手一投足を見張り続ける。
拘置所では午前7時に起床のチャイムが鳴る。
素早く布団をたたみ、顔を洗い身支度を整えなければならない。
7時20分になると「点検」
職員が歩き出す、、、、自分の房で職員が止まり「番号」と言ったら
自分の番号を答える。
安田の番号は1275番だった。
点検が終わると朝食、麦飯、みそ汁、それに納豆かつけもの
昼食は11時、夕食は午後4時というやたら早い時間。
間もなく検事調書の写しが安田に届けられた。
それを読んで安田の口がふさがらなかった。
安田が孫らに賃料隠しを指示し、証拠隠滅まで図った様子がまことしやかに描かれている。
いずれ裁判所は孫らに有罪判決を下し、安田主犯説を認定するに違いない。
そうなれば安田の外堀は完全に埋められてしまう。
いくら無実だと訴えても裁判官は聞く耳をもたないだろう。
絶対絶命の窮地であった。
●中坊公平の「正義」とは
ここで住管(住宅金融債権管理機構)について
不良債権を退治せよ、、、、中坊住管は錦の御旗を立てて国策を遂行する。
住管とは政府の特殊法人、預金保険機構の100%出資で設立された株式会社です。
資本金は日銀と民間金融機関の拠出金2000億円で賄われ、社員数は約1080人
幹部社員60人は弁護士や大蔵、検察、警察のOBたちで占められています。
「世の中、お金を借りて返さなくてもよいということが、通るということはまことに理不尽な
ことであります。
私たちは住専七社がお貸しになったお金を本当に徹底的に回収していきたいと。
そして国民の方々に全く負担をかけない。
そのためにそれを唯一わが社の目標といたしまして、役職員一同これから全力を尽くして
それに向かっていきたいと思います」
96年7月26日、住宅金融債権管理機構(住管)の社長に就任した中坊公平に率いられた
住管はこの日から旧住専七社が残した巨額の不良債権回収に乗り出してゆく。
中坊は職員の気構えが記されたカードを全員に携帯させた。
一、我々は国策を実践する。
二、自分は正義だとの確信を持つ。
三、借り得くや資産隠しは絶対許さないとの強い気概をもつ。
住管を簡単に言えば、民間の金融機関が住専につぎ込んできた資金の回収を代行する
ために作られた国策会社です。
不動産業者たちは、住専(住宅金融専門会社)というノンバンクから金を借りたに過ぎない。
それがいつの間にか、国家に対する借金であるかのように、すり替えられてしまったのです。
中坊が掲げた錦の御旗によって、債権者たちはいつの間にか「国賊」にされてしまった。
そして住管が誕生したことにより、強制執行妨害や競売妨害が摘発されるケースが増えた。
なぜなら、民事上の商取引や債権、債務関係つまり金の貸し借り、、、、に捜査当局は
介入しないという「民事不介入の原則」が生きていたからです。
この原則が生きていたから一般市民の私生活や経済行為にみだりに介入してくることはなかった。
ところが中坊はこれを崩した。
●国策捜査の恐ろしさ
中坊は「我々は国策を実践する」と言っています。
国策捜査とは、真実の探求よりもあらかじめ狙い定めたターゲットの摘発を優先することです。
つまり真実だ、正義だ、、、、なんていうのは二の次で、というかどうでもよく
ターゲットとなった人物を血祭りにあげればそれでいい、、、、それが国策捜査というもの。
その恐ろしい国策捜査は、96年からの住専事件から本格的に、現在に至るまで続けられています。
国策捜査の本当の目的は、国民の前に生贄のヒツジを差し出して、捜査の失敗や怒りや不満を
そらすことです。
そしてターゲットにされた人物を真犯人に仕立て上げること、、、、
もともと真実だの正義だのなんていうものは、はじめからないのだからどうしても
捜査事態に無理が生じてくる。
●悪魔の弁護人と言われて
弁護士、安田好弘、、、、、安田は世間から、悪徳弁護士、極悪人の人でなし、、、、と言われ
日本で起こった凶悪事件の犯人を弁護する弁護士です。
オウム真理教事件、光市母子殺害事件、和歌山毒物カレー事件、、、、、、など他の弁護士たちが
引き受けたがらない凶悪事件の弁護人になっています。
多くの刑事事件を手掛け、警察や検察にとっては手ごわい存在であり、邪魔な存在だったという。
安田は、悲惨な事件を起こした要因を明らかにし、基因を根絶することに主眼を置いて
弁護士活動をしていたという。
少しだけオウム事件について
麻原の弁護人になったのも、国選弁護人であってやる人がほかにいなかったからというのが事実。
安田は、東京のど真ん中でサリンを地下鉄に撒く、、、、という動機が理解できなかった。
そもそもそんなことがどうして可能なのか、、、、この日本の社会の中で、、、理解できなかった。
それをそういうことを宗教団体がやる、、、ということも当然理解できないわけです。
そういう事実を丁寧に解きほぐしていく必要があった。
それでそれをやりたかったのだが、結局できないまま捕まってしまった。
そしてオウムの事件は本当に麻原の指示だったのか、、、、
すべて麻原が指示をして地下鉄サリン事件も松本サリン事件もあるいは坂本弁護士事件も、、、、
全部麻原指示の下、信者たちがやったことになっています。
一応それで確定もしています、日本の刑事司法上は、、、、
でも、私はこれは違うんじゃないかと、、、、、、
事件は確か16ありました。
その16の事件にすべて彼は直接手を出していないんです。
全部共同、共謀正犯といいます。
だから現場に行って、実際に手を出したという事件はないんです。
結局、共犯とされる人たちが「これは教祖に指示されたんです」というそういう供述だけで
成り立っている事件なんです。
しかもその共犯の人たちがなぜやったか、、、、という理由の中で
教祖にマインドコントロールされた、、、、
教祖に言われるままやりました、、、、
という話になってしまっています。
これ、客観的事実でもなんでもないんです。
結局、人の言葉ですから、、、、検証しようがないわけです。
そうすると当然、指示したという彼からも聞かなきゃならないし、、、、
けれど法廷は全部ばらばらに分断されていました。
同じ事件をやったのに、被告人ごとに事件が法廷が違うわけです。
それで例えば彼の法廷に共犯者と言われる人が、つまり実際に地下鉄にサリンをまいた人が
呼ばれてくるんですけど、ほとんど何も話してくれないんです。
仮に話したとしても自己防衛といいますか、、、、、
マインドコントロールの中にいて、わからなかったという話になるわけです。
ほとんどだから事実が明らかになっていません。
と安田はオウムの事件について語っています。
聞き手の青木埋さんが
「マインドコントロールね、取材していて思ったんですけど、マインドコントロールって
一体何なのかと、もちろん頭ではわかっているんですけど、マインドコントロールされたから
一流の大学を出たからからいいってわけじゃないけど、一応みんなインテリな人たちですよね。
その人たちがマインドコントロールされちゃった、、、、と、、、、
わかりやすいようで全然わからないんですよね。」
本当によくわからない事件でした。
この事件が白日の下にさらされる日は永遠に来ないのでしょう、、、、
真実は永遠に闇の中、、、、、