メラミン事件 | Midnight Express

メラミン事件

香港でも大騒ぎになっている。地理的な近接性もあり、最近では香港に外国産粉ミルクを買い求めにくるツアーが相当数あるとか。人々は正直だ。

ここ香港でも中国産食品については、ギョーザのみならず数々の製品が汚染ないしは有害ということで騒がれてきた。マラカイトグリーンが入ったウナギだとか、農薬にまみれた毒イチゴなどなど。あまりにこういう話題が多いのですっかり慣れっこになってしまった感もあるのだが、今回の粉ミルク事件はそれと比べても反響が大きい。面白いのは、ギョーザ事件や鉛事件では輸入禁止措置をとる海外に強気な態度で臨んだ中国が、自国の中でこの事件が起きてからというもの、全くこの問題に対して強気な態度が取れない点だ。

その要因は大きく二つ。
まさにおひざもとの国内で、牛乳という毎日の生活で不可欠かつ加工食品の多い素材が汚染されてしまったことと、子供に影響が出てしまった点だ。

当初、当地のサウスチャイナにメラミン事件が報じられたときはそれほど大きな扱いではなかったのだが、あっという間に紙面の大半をミルク話題が占めるまでになった。こんなことは俺の居た中でも珍しい。それだけ、本土ではない香港においてすら大きな衝撃であったことを物語る。

この問題は、本当に根深い。

多くの人が飲み、加工食品が数えられないほどにわたる牛乳に対して有害化学物質を混ぜるという行為が、業界の常識としてまかり通っていた事実。関わった人間達の拝金主義というか、人間としての非常識さに唖然とするが、これが中国が行ってきた政策の一つの結果だ。社会保障すらマトモに準備せず、愛国教育を叩き込み、形ばかりの社会主義で日本とは比較にならない格差社会を生み出してしまったがために、売れれば何でもいいという輩が数多くいるのが実情である。広州、深圳あたりを歩いていてもよく感じることだが、今の状態は明快に言えば、人心が荒廃した状態だ。周りを蹴落として豊かになることしか考えていない連中が多すぎる。

今回の事件が中国人が最も大切にする家族の最も弱いところを直撃するものであったことも皮肉だ。当然、影響は巨大で、最も守るべき存在すら守れない政府というレッテルを貼られ、怒りがいつ政府に向かってもおかしくない、本当に綱渡りの状態と言えるだろう。有害物質を撒き散らされた海外はもちろん、中国産の品物に対する信頼は中国人においてすら揺らいでいる。折しも、最大の輸出先である米国は輸出が減速する中、国内の社会不安はますます増している状態だ。このまま景気が悪化でもしたら、とたんに空中分解しかねない。

正直言ってこの話は、建国以来の中国が、結局のところ不安定な社会を生み出す駄作であったということになるのかもしれない。

毛沢東、鄧小平、江沢民の負の遺産は、これほどまでに大きいのか。胡錦濤に心底同情を禁じえない。