民営化の否決 | Midnight Express

民営化の否決

予想されたこととは言え、否決されましたね。

個人的には、もう少し僅差かなと思ってたけど・・・。


この問題って、難しいのはいわゆる街の郵便局がなくなるっていう感情論と、それとは全く別であるべき「財政」という問題とがごっちゃまぜになって語られる点。


街の郵便局がなくなったら、そりゃ困る。それは、ある程度おカネを出しても維持すべきじゃないかなあと思うわけです。過疎地に住む方に大して郵便局を置いておくくらいは、まあいいんじゃないかなと思う。税金の無駄遣いじゃないし。ただ、実質世襲制の特定郵便局長が自民党の票田になっているというのは気持ち悪いけど、それにしたって某宗教団体が国会を牛耳ってる現状はもっと怖い。

給料だって見直すべきだろうし、それこそ公務員の身分は必要ないと俺は思うけど、後に言う話に比べたら、みみっちい話。


で、もっと問題なのはそれとは別の「財政」の面。

日本にはわけのわからない公益法人だとか、特殊法人が腐るほどあります。これは、役人の天下り先という胸くその悪い問題のみならず、一向に競争原理が働かないので税金の無駄が雪だるま式に膨れるというまさに百害あって一利無し状態。まあ、銀行も下らない子会社が一杯あって、そこに高い金払って発注して、そのツケが預金者に回っているんであって全く同様の存在だけれど、こっちのが圧倒的に規模がデカイ。談合の話も、あれだけ露骨にやっていればバレると一瞬で終わるけれど、特殊法人を通したりすればグレーでもそれ以上の追求はしにくい。


前置きが長くなったけど、郵政民営化ってのは本来ここの面から語られるべき話。郵貯や簡保ってのは、自力で運用する力なんて全くないので、基本的に国債やら財投債(実質国債)やらを買っているだけ(銀行も同様・・・)。そのお金が財投債なんかを通じて特殊法人に回るので、結果としてみんな一生懸命働いて貯めたお金で天下った役人どもに無駄遣いさせてあげてるという状態。要するに今の状況ってのはなぜかみんなが安心して郵貯に預けて、郵貯はそのお金で国債を買って、その資金で政府もジャブジャブお金を使って何とかやっていけてるという危なっかしくてしょうがない状態。


その意味からは、日本の国債発行残高が500兆にもなって、その原因として税金の無駄遣いってのが言われている今、まずは資金の出所(サイフのヒモ)をきっちりしめられるように、異常に郵貯に集まっているお金を市場原理に晒してみようか、そうすればもっと色んな所にお金が回って、よく分からない特殊法人にはお金が回らなくなって、という本来あるべき市場原理なるものが働くのでは、というもの。これが、財政から見た民営化という話。個人的にはそこそこ面白い話だと思う。もちろん、出口の特殊法人改革をきちんとやらにゃ意味ないけどね。


実際民営化されたからって、たくさんお金持ってる人たちが急に資金引き上げたりはしないし、徐々に浸透していくモノだと思う。今回出されたようなややふにゃふにゃな法案なら、さほどインパクトは大きくない。だけど、少なくとも現状では完全に政府におんぶにだっこやってる郵政事業に、そのままではいられないぞと、自分で何か考えてやらなきゃいけないぞっていうプレッシャーを与えることは、決して意味のないことじゃない。実際に公社になって、郵便局もあれこれと手を打っている。以前なら、考えられなかった話。


こうやって否決されて、ちょっと怖いのは、どんどん財政が悪くなって(先進国じゃ既に最悪)、そのうち円売り・日本株売り・債券売りのトリプル安になって、そうなったときに一斉に国債から資金が逃げ、円保有をリスクとして捉えていない日本の銀行も潰れ・・・というシナリオ。どっかの小説にあったけど、あんまり笑い事じゃないっすよ。双子の赤字なんて言われてるアメリカより、よっぽど財政悪いんだから。