「伊勢音頭恋寝刃」は夏芝居の定番
主人公の着付けも夏のもの
白地の十の字絣に黒の紋付羽織、帯は献上博多
出てきただけで、涼やかな感じの衣装です
今月の舞台は福岡貢を松本幸四郎で
仁左衛門が指導した際に
「どこを写真に撮られても綺麗じゃないといけない」
と言ったそうで
「立ち姿や匂いといった技術ではない部分が重要な役」
と聞き書きで幸四郎が述べていますが
すっきりと綺麗な福岡貢でした
口跡がもう少しスッキリしたらと
思わないでもないですが
それにしても計算され尽くしたような衣装
濡れ衣を着せられ怒る貢
羽織が脱がれ色味が少なくなりますが
妖刀「青江下坂」に操られるように
次々の人を殺していくと
赤い血の色が衣装に加わります
「殺しの美」とでもいうような
洗練されたもの
どこから撮っても美しい舞台です
背景には
「伊勢は津でもつ、津は伊勢でもつ、
尾張名古屋は城でもつ」
の伊勢音頭が流れ
エアコンがなくても涼しくなりそうな
夏芝居で一日の幕開けです
夜の部最後は
「恋飛脚大和往来」(新口村)
こちらは一転雪の中
梅川忠兵衛で知られる近松の作
お店の金に手を付けて逃げてきた二人が
なんて派手な衣装
とツッコミが入りそうですが
やっぱり綺麗は大事
12日に拝見した時は梅川を代役で
中村壱太郎が
千秋楽は本役の扇雀でした
壱太郎はよくがんばっているんだけど
肩がかたい
代役だし仕方ないのでしょうが
伊勢音頭の油屋のお紺でもそんな感じがします
新口村では千之助と
油屋でお岸をしていた中村虎之介が
大和万歳を披露しています
二人ともやわらかい身のこなしで上手
ただ、柔らかく踊り過ぎても締まりがなくなるので
難しいところですね
若い方たちは、これから何度も
壁にぶつかるのでしょうが
5年後、10年後を見たいと
思わせていただきました
ちょうど今の千之助君と同じ年頃の
孝夫さんを見始めて半世紀以上
何だか感慨深い松竹座でした
写真は、こちらも過去の舞台のものです



