みどり、向き合う
「父の仕事を手伝う」
その思いが脳裏をよぎった時、
私は意外にも、
その思いを打ち消しませんでした。
むしろ、これしかない
と確信を得た感じでした。
さっそくその晩、父に電話します。
かねてから「会社を手伝って欲しい」と
ことあるごとに父が言っていたので、
当然働けるものと思って
鼻息荒く意思を伝えました。
ところが。
返事はNOでした。
唖然
理由は、こうです。
実は会社の経営が非常に難しく
なってきていたのです。
今さら帰って来られても迷惑だ、と。
父は半ば泣きそうな、怒り口調でした。
もし私に、状況を想像する頭があったなら
そこで引き下がったでしょう。
しかし、幸か不幸か、私は無知でした。
それゆえに、必死に喰らい付きました。
「手伝わせてください。お願いします」
頭を下げ続けた結果、
父は渋々ながら、折れてくれました。
かくして、再上京&再就職した数ヶ月後に、
バタバタと故郷に戻ることとなったのです。