みどり、死す
『我が半世紀を振り返る』
と、大風呂敷を広げて、
最初に思い浮かぶ出来事は?
そう、アレですね。
20代後半、死んだこと
肉体が死んだのではありません。
臨死体験とか、したこと無いです。
物理的に危険な目に遭ったわけでも、
命の危機にさらされたわけでもなく。
それまでの人生が一回終了しました。
尊敬する諸先輩方の著書によれば、
個人差あれど、
覚醒の途上で
こういった言わば「精神的な死」は
ままあることのようです。
私の場合、それは青天の霹靂でした。
ある朝、頭の中に、
割れんばかりの大音量で
「ビーッ、ビーッ、ビーッ!」
と、警報が鳴り響きました。
同時に、
心臓がギュッと掴まれたような感覚。
呼吸が苦しい。
目からは大粒の涙がボロボロこぼれ落ちる。
目眩で立っていることもできない。
頭の中にはブザー音と、
「私は、道を間違った」
という言葉がグルグル。
その場にうずくまって喘いでいると
図ったように故郷の父から電話。
「何してんだ?」と父。
私は息も絶え絶えに、
「何がなんだか分からなくなっちゃった」
父「分からなくなったなら、帰ってこい!!」
私「ハイ」
止まる気配の無い涙をそのままに、
とるものとりあえず
ヨロヨロフラフラと
タクシーと新幹線を乗り継ぎ、
故郷の実家まで辿り着きました。
そのまま、絶望のドン底的世界に
くずおれたのでした。
このあと10年続く、
怒涛の再生の旅のはじまりです。