真鶴/川上 弘美
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またこの本にとりつかれた。

この本の夫の、突然失踪した、その勇気ってなんだろうと思う。

すべてを捨ててしまう勇気って、無気力なの?全力なの?

誰か教えてほしい。


川上弘美は、ぼーっとした小説が多いような印象だけれども、

やっぱりすごいな、と思う。


ふだん穏やかでぼーっとしてるヒトに

えぐられる事ほど衝撃的なことは、ない。



.........


子供を生む前と生んだあとの、妙な感じについては、

ほかの「おかあさん」たちも、みんな、ひとこと、あるようだった。

「考えてたのと、ぜんぜん、ちがう」くちぐちに言った。

世界が変わった、というのではない。

でもちがう場所に行ってしまった。

時々刻々と、いる場所は変化した。

変わって、変わって、どこまで行くのかとおののいて、

それからまたここに戻ってきた。

けれどまだ、戻りきれていない


........真鶴




男は自由でいいわね、

アタシはいつもいつもそういうことを言っていた気がする。


アタシなんて、ずっと家にいて、

言葉を発することもほとんどない日だってあるのよ。

いいわね。

楽で、いいわね。

朝から、吐き捨てるように言って、

見送ったことさえある。



でもどうだろう。

本当は女のほうが、

色んな世界を行ったり来たり。


それは自由とは違うかもしれないが、

時空を旅している。

哀しげな旅ではあるが。