重松清さん「追伸」を読んで | みどりの丘歯科医院 院長ブログ

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今日はゴールデンウィーク最終日でした。あっという間の連休で楽しい時間はすぐに過ぎていくものです。今年はあまり予定がなかったのでゆっくりと過ごしました。

休日のあいだにもちょっとした時間があれば重松清さんを読んでしまいました。重松さんは依存性があり、一作読んでしまうと次の作品を読まなければ禁断症状が出てきてしまいます。今日も感動作をご紹介しましょう。

「卒業」という文庫本の中にある、「追伸」です。少し長い目の短編が4作、その最後の作品です。主人公の男性は幼くして実母を失います。その後父は再婚。継母は悪い人ではないのですが、少年にはその無神経さが堪らず、埋まらない溝を感じています。大人になっても一度も「母ちゃん」とは呼んでいません。あくまで主人公にとって母とは実母の事で、それ以外認められずにいます。主人公の職業は作家で、ある連載に母の事を書いてしまいます。それも、「その後の母」の事を。つまり空想で母と過ごした過去の日々を書いてしまうのです。主人公と継母にはもう一つの過去の壁があります。実母が亡くなる前、我が子のために書き残した日記があったのですが、その大事なノートの最後に継母が勝手に追伸を書き足していたのです。主人公はそれを見て、継母の無神経さに腹が立ち、許せず、日記はいらないと啖呵を切って大学進学の際、上京してしまったのです。主人公も年齢を重ねもう中年になっています。気が進まない中、正月に帰省した時、年老いた継母がその日記について語ります・・・。ラストは涙が止まりませんでした。私はカフェで読んでいたのですが、それでも泣いてしまいました。奇しくも今日は私の母の命日です。もう3年が経ちました。母親という存在の大きさと、両親を失ったという喪失感を感じ続けた3年でした。それでも少しづつ、その喪失感に慣れてきた事も事実です。それで良いと思っています。

明日からまた、仕事を乗り切っていきましょう。