日差しが暑いけれど、風はさわやかですね。

ステキな一日でした。

 

久しぶりに絵本を。

 

 

ジョン・ラングスタッフ・文 /

フョードル・ロジャンコフスキー・絵

『おおきなのはら』(光村教育図書)

 

 

おおきな のはらの ひあたりの いい すなちに

かめの おかあさんと、こがめが 1ぴき。

「あなを ほってごらん」と、おかあさん。

「あなを ほるから みててね」と、こがめ。

あなを ほったら、すなちは ぽかぽか いいきもち。

 

 

あかちゃんから大人まで楽しめる絵本です。

 

まず、絵がキレイ。大判の絵本で見開きいっぱいに

写実的な動物たちが生き生きと描かれています。

(デッサンに色鉛筆かパステルで彩色したような絵です)

1ぴき1ぴき丁寧に描かれているので

「この子は、何してるの?」なんて

読んであげながら子どもと対話するのも楽しい。

 

それから、文がリズミカルです。

翻訳も素晴らしい! ちゃんと詩になってますね。

まだよく言葉がわからない赤ちゃんも、抑揚とリズムは聴いていますから、文がリズミカルだとちゃんとついてこられます。

読んでいても気持ちがいいですよね。

 

描かれているのが、おかあさんとこどもたち。

「○○してごらん」

「○○してみるから みててね」

おかあさんに見守られながらトライしてみる安心感。

「○○したら・・・・いいきもち」

新しいことにトライしても大丈夫。怖くないよという保証。

読んでいる方もいいきもちになります(笑)

 

ページをめくると、次の動物の親子の対話で

子どもは1ぴきずつ(10ぴきまで)増えていきます。

 

最後のページは、見開きいっぱいに夜ののはらが描かれ

おそろしいフクロウがウサギに襲いかかる情景。

セリフはありません。

「暗転」という感じです。

素通りしてもいいし、こどもが質問してきたら

楽しいだけじゃないのはら --- 世界 --- について

説明してあげてもいい。スパイスが効いています。

 

 

とてもいい絵本なのですが、

印象的なキャラクターが出てきたり

(アンパンマンとかももんちゃんとか)

お話に起伏があるわけではない、繰り返しの

どちらかといえば地味で退屈な絵本なので

手に取ってもらいにくいかもしれません。

 

でも、赤ちゃんから大人まで楽しめます。

読んであげているとおかあさんも癒される。

 

身近にあかちゃんが産まれた人がいたら

プレゼントしてあげたい絵本です。

 

 

 

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つたないブログを読んでくださって、ありがとうございます。

 

 

 

更新はとてもとても久しぶりです。

梅雨の気配が近づいていますね。

 

友達と鎌倉の明月院(アジサイ寺)に行ってきました。

アジサイはようやく色づき始めたところで、見頃は10日くらいあとみたいです。

でも、その頃には人が押し寄せて、こんなふうにのんびり写真は撮れないでしょうね。

 

 

 

 

まだ、人のいない境内は風の音がするばかりで

緑のにおいがしました。

 

なんだか肩の力が抜けて、頭が真っ白になるようです・・・

 

明月院は奥に菖蒲園をもっていて、有名な丸窓の向こうにちらりと望むことができます。

入園は別料金(500円)です。

いつもは入らないのですが、菖蒲はちょうど見頃で

紫陽花がさびしかったので・・・

 

 

来週・再来週は紫陽花も見頃。

明月院は山寺なので山全体が青く染まります。

(青い紫陽花ばかりなのです)

 

 

よろしければぜひお出かけください。

オススメは朝と閉園間近だそうです。

 

 

関東地方でも地震がありました。

怖かったです。

これくらいの地震(震度3)は、東京に住んでいれば時々あるものだけど

各地でこう続くとなんだか不安になります。

みなさん大丈夫でしたか?

 

さて、今日もYAの本を。

 

 

スーザン・クーパー『光の六つのしるし』(評論社)

 

 

明日は冬至。ウィルの11歳の誕生日だ。

ウィルはカーテンを開け、鼻を冷たい窓ガラスに押しつけて、雪が前にもまして降りしきっているのを見た。

窓敷居にはすでに2,3インチ積もっていて、風が新たに吹きつけた雪でだんだんうず高くなるのが見えそうなほどだった。

 

本格的な吹雪になりつつあるのだ。

ウィルは宿なしを思い出した。

「<旅人>がうろついている・・・今夜はいやな夜になる・・・」。

 

その時、予告もなく、恐怖が訪れた。

 

 

そして11歳の誕生日、ウィルは自分が<古老>

--- この世のはじめから続く「光」と「闇」の闘いに臨む、「光」の軍団の一員 ---- であることを告げられ、否応なくその戦いに引き入れられる。

 

 

 

う~ん。こうやって書くとラノベの異世界モノみたいですが、もっとずっと重厚感のある本格的な物語です。

 

スーザン・クーパーは英国人作家。オックスフォードを出ています。

だから物語も、アーサー王伝説を中核として、キリスト教の意匠や伝説が背景に縦横に張り巡らされ、英国ゴシックの昏さと、ケルト伝承の妖しさが物語を彩っています。

その昏い雰囲気は、それだけをみると「オーメン」みたいです。

 

クリスマス・イブ。 石造りの教会。

ミサの最中に突然灯りが消え、カラスが襲いかかってくる ---  とかね。

安っぽくならないのは、ちゃんキリスト教的裏付けと描写がしっかりしているからです。

 

ウィルは<古老>として覚醒すると、人間とは違う能力と精神に目覚めます。

例えば、"闇の貴人" が人間の精神を攻撃して崩壊させようとすると

それを防ぐために、人間の精神活動を停止させることができます。

(ウィルが負けた場合、その人間の精神は二度と目覚めません)

 

その能力を自分の家族に対しても行使するのです。

 

この部分が、ウィルを人間として読み進める読者には

鼻持ちならない感じがするので、書評ではマイナスポイントとして評されることが多いです。

 

わたしは、むしろこんな理不尽な光と闇の対決に巻き込まれた人間として --- ウィルとは距離を置いて ----(どっちも酷薄だよなぁ)と感じながら読み進めるのが、面白い = 新しい感覚でした。外側から人を眺めるというか。

 

読みながら共感できる最大のポイントは、ウィルが、いくら特殊な知識をもつ古老だったとしても、みかけは子どもだということで、(コナン君といっしょですね)出かけるのにお母さんに言い訳をするか、こっそり抜け出さなければならない等、ハンディを背負っている事です。

 

それから、ウィルの周囲には、その覚醒を待つ<古老>たち、覚醒を見張っている<闇>の手先たちが、近所の人などに紛れ込んで潜んでいます。

いままで "親切なお隣のおじさん" だと思っていた人が、ある日突然敵だとわかるなんて!

ドキドキしますね。

 

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この作品は、たしか2015年冬、映画化されましたが

評判は良くありませんでした。

 

今はやりのCGを駆使したスーパーファンタジー、

光と闇の対決なんて定番だし、映画化にはちょうどいいんでしょうけど、そうすると普通すぎてつまらないんですよね。

 

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この「闇の戦い」シリーズは

 

1.光の六つのしるし

2.緑の妖婆

3.灰色の王

4.樹上の銀

 

と続きます。

 

1作目だから『光の六つのしるし』を挙げましたが

ウェールズを舞台にした『灰色の王』が最高傑作で

コンウォールを舞台にした『緑の妖婆』がそれに次ぐと思います。

 

単独で読んでもついて行けると思うので、もし迷ったら『灰色の王』をオススメします。


これは本当に面白いです!

 

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つたないブログを読んでくださって、ありがとうございます。

気が向いたら、また立ち寄ってみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日・今日と、まるで夏みたいないいお天気でしたね。

空が青くて。日に灼けそう!

犬は足の裏がアスファルトで焼けちゃうから、もう昼間は連れて歩けません。

 

さて、今日は久しぶりにYA(ヤングアダルト)の本を。

 

 

ローズマリー・サトクリフ『太陽の戦士』(岩波少年文庫)

 

 

青銅器時代のブリテン。

少年が一族の男(戦士)として認められるには

「狼殺し」の儀式を通過しなければならなかった。

一対一で狼を仕留めるのだ。

それに成功したモノだけが戦士の緋色のマントを身につけることを許されるのだ。

 

少年ドレムは生まれつき右腕が利かなかった。

それはドレムの右肩からだらりと下がっていた。

これでは弓も引けず、槍を持てば盾を持つことはできない。

 

「あいつは槍の手を使えもせんのに、どうして一人前の男になれるというんだ」

祖父の言葉に傷ついて家を飛び出したドレムは、片腕の戦士タロアに出会う。

タロアは牛泥棒と戦って、左の手首から先を失っていた。

 

「もし、事が戦うのにふさわしいことなら、戦え。

弓を射るのに二本の手がなければ、投げ槍を練習しろ。

おまえがしかたなしにそれを選んだっていうことを、敵のやつらや、兄きたちが忘れちまうほどうまくなるんだ」

そしてタロアは、もしドレムが狼殺しに成功したなら、戦士の誓いたてるとき証人になると約束してくれた。

 

こうしてドレムの、たったひとりの戦いがはじまった。

 

 

ドレムは厳しい現実を生き抜く覚悟をもった少年です。

"障がいをもった人ががんばる話"だと思ってほしくない。

物語はドレムの視点で描かれていきますが

ドレムの精神があまりにも毅然(きぜん)としているので

同情したり応援したりするのが、失礼に感じられるほどです。

 

戦いの中でもドレムの一部は冷静で

周囲の状況と自分の位置を確認しています。

書き手の視点がやや突き放した位置にあるからかもしれません。

 

だから読む側も、がんばれ!と思うのではなくて、いっしょに歯を食いしばって読み進めることになります。

 

「わかものの家」で戦士になるための修行を積む中

ドレムは仲間たちの中での自分の位置を勝ち取らなければなりません。

ルガの侮辱に立ち向かっていき、勇敢さと意地を示すドレムに

族長の息子ボトリックスが加勢します。

 

そして「狼殺し」の時期がやってきます。。。。

 

 

 

思春期に読んでほしい。きっと共感できる部分があると思います。

 

 

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ローズマリー・サトクリフは英国の作家。

歴史小説家。歴史を舞台に、少年を主人公にした児童文学は高く評価されています。

自身も足が不自由で、家庭で教育を受けました。

この『太陽の戦士』は代表作とされています。

 

『王のしるし』とか『第九軍団のワシ』も素晴らしい作品です。

 

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つたないブログを読んでくださって、ありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりに舞台!

ブラックメリーポピンズの再演です!!

 

最初から最後まで、ヒリヒリするような舞台でした。

素晴らしかった!!

 

そして、おなじストーリーですが、全然違うモノです。

同じ曲を違う人が演奏すると --- 特に JAZZ なんか --

全然違うモノになったりしますが、舞台も同じですね。

 

今回はアンナ役が中川翔子ちゃん(しょこたん)に変わったので、家族内の力関係が変わり、役割が少しずつ変わり。。。全然別の家族のおはなしになっています。

 

演出も振り付けもまた変わっていて。。。魅力的!

 

前回観たからもういいや --- ということは絶対にありません!!

 

まだ言葉にならないから、今日はここまでにしておきます。

ステキな舞台をありがとうございます。

 

 

<追記 2016.5.28>

以下はネタばれになってしまうので、観劇前の方は見ないほうがいいかもしれません。

このブログを見ている人は、ほとんどいないから大丈夫と思いますが、いちおう。

 

創っている方々が "前回のことには触れない・考えない" というスタンスで臨んだモノなので、どうしても比較しちゃうのは申し訳ないのですが、全く別モノだったという前提で、どこが違ったか話したくなりました。

 

ごめんなさい。

 

一番違うのは年齢構成でした(笑)

 

音月桂ちゃんのほうが、しょこたんより大人に見えますよね。

しょこたんの方が幼く見えます(かわいかった)。

だから、末っ子のヨナスはもっと下! 

ということで、ホントに幼い子になっていました。

 

で、「15歳にもならないんだぞ」というセリフがあるから

一番上のハンスの年齢は14歳(15歳ちかくだと思う)で

変わらなくて、2番目のヘルマンもたぶん12,3歳で変わってない。

 

あくまでも、私の主観ですが

初演の4兄妹が 14, 13(12?) ,13(12?), 10(9?) くらいに感じられたのに対して

今回の4兄弟は 14, 13(12?), 11(10?), 7(6?) くらいの感じです。

 

前回はアンナの喧嘩相手はヘルマンだったけど

(年が近いんですね)

今回はアンナの喧嘩相手はヨナスです。

 

下の子たちが幼くなっちゃったから、

相対的にお兄さんたちの責任感が重くなっていて

長兄ハンスは兄妹の一員であるけれど、同時に

保護者(おかあさん)的な側面が強くなっているし

次兄へルマンも強くなってる。

キャラも全然違います。

 

メリーも、家庭教師というよりナニーの色が濃くなっていて

おかあさんぽいです。

 

というわけで、全然違う家族なんですね。

観ていて「あ。全然違う人だ」と思いました。

 

 

それで、悲劇が起こるのですが。

 

もちろんファンだから(!)

つい小西くんに目がいくのは当然なんだけど

それを別にしても、責任感の重さが全然違っていて

幼い弟妹を守れなかったハンスの痛みと苦しみが

倍増(何倍増?)しているように感じられました。

身に迫ってきて苦しいほどです。

 

 

子ども時代の楽しさも、楽しいのは同じだけど

もっとカラフルでアクロバティックでサーカスみたいでした(笑)

動きが変わっていて面白かった!

 

ちょっと残念だったのは

しょこたんの音域に合わせた結果だと思うのですが

たぶん全体の音域が少し下がっていて、それで

男の子たちの、一番伸びやかに声の出る部分が

自由に使えない点です。

 

 

照明や音響もすごく違っていました。

前回は、余計なものを削ぎ落としたクールな舞台だと感じましたが

今回は、いろいろ装飾的です。

舞台全体が演じているみたいです。

 

 

 

明日(今日)は東京千秋楽。

今回は全国もありますね。まだの人はぜひ!!

 

ステキな舞台をありがとうございました。