日本語の作文技術
作者:本多勝一
出版社:朝日新聞出版
発売日:1982/1/20
評価:★★★★★
日本語の作文技術 (朝日文庫)/本多 勝一
¥567
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美しい文章を書くということは僕にとって重要なテーマである。
色んな記事を読んでいると、たまに本当に綺麗な文章を書いている人がいて本当に羨ましく思う。
僕の後輩にもとても美しい文章を書く女の子がいる。
話を聞いたところ、彼女は小さい頃から文章を書くのが大好きで、書き続けていたら段々感覚が洗練されていったそうだ。
内容を充実させるためには資料を集めればよいが、洗練された文章を書くのは一種の才能だと思う。
ただし、美しい文章とわかりやすい文章とではまた意味が異なる。
本書では「美しい文章」を一種の才能とし、「わかりやすい文章」を書くのは才能ではなく技術の問題だとした上で、その「わかりやすい文章」を書くための技術を紹介している。

「わかりやすい文章」を書くコツ

修飾語
・修飾する言葉と修飾される言葉を近づける。
・長い修飾語は前に、短い修飾語は後に。
・大状況から小状況へ、重大なものから重大でないものへ。
・節を先に、句を後に。

句読点
・列挙には中点を使う。
・句読点字と同じか、それ以上に重要。
・長い修飾語が二つ以上あるとき、その境界に点を打つ。
・点(読点)の基本的な意味は、思想の最小単位。
・接続語を強調する読点
・「カッコ」と読点は何の関係も無い。

その他
・一つの文の中で三つ以上のハはなるべく使わない(二つまでとする)。
・漢字と仮名を併用すると分かりやすいのは、資格としての言葉の「まとまり」が絵画化されるから。
・段落のいい加減な文章は欠陥文章。
・「ように思われる」という言い回しは社説用語であり、真に「ように思われる」とき以外には使わない。
・鈍感でない文章の終極点はリズムの問題。
・いきなり本論・本舞台という書き出しは最も無難な引きずりこみ。
・具体的事実を書くということは、大げさな修飾語をやめるということ。
・取材が十分にできていれば、文章は多少下手でもカバーできる。

以上

書いていて自分の文章に変な所が無いかすごく不安になってきた。
一応意識して書いたつもり。

今までこういったタイプの本を読んだことが無かったので、すごく参考になった。
僕は書評の記事を書く際に五段階で評価をつけているのだが、初めて最高評価をつけた本である。
文章が上手く書けないと思っている人や、句点や読点の使い方など基本的な日本語の技術を知りたい人には是非読んで欲しい。

作中では島崎藤村・森鴎外・夏目漱石・志賀直哉・井上靖・川端康成などの文豪の文章が紹介されていたのだが、こういった視点で読んでみて改めてその偉大さを実感した。美しい。

読書進化論
作者:勝間和代
出版社:小学館
発売日:2008/10/6
評価:★★★
読書進化論‾人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか‾ (小学館101新書)/勝間 和代
¥777
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僕が勝間さんを初めて見たのは、情熱大陸に出演していた時のことだ。
僕はあの番組を見てから勝間さんをすっかりはまってしまい、昨年には著書である時間投資法・勉強法・フレームワーク力の3冊を読了してしまった。
そして久しぶりに勝間本を読もうと思い、4冊目にこの読書進化論を選んでみた。
ただ、以前にその3冊を読んだ時から時間が経ち、その間に他の色々な本を読んだせいなのだろうか。読了後は、なんとなく物足りないような印象を受けてしまった。
しかしそれでも、要所要所にささる言葉があったのは、さすがと言うべき。
以下内容と感想。

・ウェブの時代になったけど、それでも本には十分価値がある

副題に『人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか』とあるが、ウェブが進化しても、やはり本から得られる情報はウェブの情報とは性質が異なるから、本がなくなることはあり得ない、ということ。
また、本とウェブとの融合から新しい可能性があるな、と。

・進化している「読む」技術

個人的にはこの章が一番面白かった。

本を読むときには、その本の著者とどういう話がしたくて、何を質問したいのか、という意識を持つことが重要なのです。

うまいこと言う。
こういう意識づけというのは大事だと思います。
少なくとも、何も考えずにただ本を読むよりもずっと得られるものが多いじゃないかと。

(読書のレベルが)上級になると、全体を把握した上で、自分が必要とするところをスキャニングして探し出せるようになります。

これは勝間さんのフォトリーディングの経験から言っているんだろうけど、本を速く読むことを意識していると、なんとなくこの感覚はわかります。
ただ、僕の場合は本当に集中しないとこういうことはできないし、フォトリーディングもできません。
速く読めるといっても、本を読まない同世代と比べたら、という話ですし。

・「書く」人も進化する

ウェブの進化で「読む」と「書く」が近づいてきた。
特にブログを使えば「読む人」から「書く人」に進化できる。

大事な事は、「(読者に対して)目標を明日できる行動に落として明示する」ということです。

これは書く際のポイント。

・「売る」仕組みを進化させる

さすがというか、「読む」「書く」だけではなく、「売る」こともレクチャーしてくれています。
読書進化論を読んで本を出版する人が何人いるんだろうと思ってしまったが・・・。
この辺りは勝間さんがどうやって本を売っていったかという話でした。

まとめ

なんとなく肩透かし感はあったのだけれど、それでもまた別の本を読んでみたいと思ってしまうのが勝間本の不思議なところ。笑