こちらの記事によると
メールは7月29日、福岡市の108校の市立小の「1年生~5年生の保護者の皆さま」宛てに送られた。
件名には「【感染症予防ワクチン臨床試験】の参加者を募集しております」などと書かれ、本文には冒頭で「安心メール協力事業者よりご案内があります」と触れられ、臨床試験の対象年齢が5~11歳であること、通院回数や期間、1回の通院で1万5000円を支払うことが案内されていた。
申し込みページにつながるリンクも張られていた。
これに対し、保護者から市教委に「市教委が関わっているのか」などの問い合わせが相次いだ。
メールが届いた各校は31日、
「学校は関与していない」
「治験を推奨しているものではない」
などと釈明するメールを送り、安心メールの運営会社も
「一部受信者の方々に混乱を招く不適切なものだった」
「今後は告知メールの内容につき、一層の配慮をしてまいります」
などとするメールを配信する事態となった。
メールを受け取った保護者は「子どものための重要な連絡ツールで、学校の連絡なのか営利企業の広告なのかが紛らわしいメールが届くのはいかがなものか」と困惑した様子で話した。
そもそも安心メールはどういう仕組みなのか。
運営会社がサービスを提供するケースが多く、学校が運営会社と個別に契約し、保護者にスマートフォンなどで受信できるよう登録を促す。
臨時休校や行政が提供する就学援助の申請、新型コロナウイルスに関する連絡など、事前に児童や生徒を通じて連絡できないような緊急連絡でも使われる。
全国の小学校、中学校などで利用が進む。
市教委によると、今回の安心メールの運営会社は熊本県益城町のIT企業「テクノミックス」。
協賛企業を募ってメールシステムを運営する資金を集める一方、協賛企業は保護者に対し、広告に当たる「協賛告知メール」を届けられる。
広告配信を伴う仕組みのため無料で利用でき、利用する学校側には魅力的という。
一方、協賛企業にとっても、特定の地域の特定の層に情報を届けられるため、広告効果も高いとされる。
市教委と企業で見解にすれ違い
今回の経緯について協賛企業で、治験被験者を募集する企業「ユニックス」(東京都港区)の担当者は
「事前に各校に内容を確認してもらった」
と説明する一方、市教委は
「各校にファクスは届いたが、可否を確認するものではなく了承を得たことにはならない」
としており、見解はすれ違っている。
一方、テクノミックス社長は取材に「学校からの連絡のように見えるメールだった。
内容が内容だけに、もう少し配慮すべきだった」と不手際を認める。
市教委の担当者も「学校からの大切なお知らせを配信するメールシステムで、今回のような内容を送るのは不適切で、保護者らに多大な心配をおかけした。
安心メールの運用のあり方を検討したい」としている。
同様のメールは、福岡県糸島市の小学校10校の保護者にも送られたことが確認されている。
法政大の坂本旬教授(メディア情報教育学)は「ワクチンの治験を募るメールが流れたことは大問題だ。
無料版のシステムを使えばこのような問題が起こるということが、教育委員会で認識されていなかったのだろう。
広告に使われているということは、保護者が登録した個人情報が使われているということでもある。教育機関が使うものは、必要な情報だけが配信されるようにしなければいけない」と話す。【平川昌範、竹林静、宗岡敬介】
「広告に使われているということは、保護者が登録した個人情報が使われているということでもある。」
と書かれていますが、これは問題ですよね。
広告が載るようなシステムを、学校が保護者への連絡に使うこと自体を見直さなければいけないのでは
と感じました