クリスマス。
とあるバーで繰り広げられる、見苦しい父と愛くるしい娘の息苦しいものがたり。
高三の二学期の終業式を終えたその足で、彼女は新幹線に乗り込み地方の温泉街へ赴く。
自分の過去を知ろうと、今を伝えようと、未来につなげようと。
温泉街からはずれたところにある
人気のないバーで男は働いていた。
自分の未来を戒めるように、
今を偽り、
過去を忘れたふりして。
「お父さんを探してるって、そんな犬や猫みたいに言われてもねぇ」
「そうですよね、父が犬か猫だったらよかったんですよね。
でもどちらかと言うと猫の方が好きです」
父と娘の行き違った不幸と会話で綴る、笑ってもコメディ泣いてもコメディな80分。
旗揚げ一年目に30GPに選んでもらった作品を、
四年の時を経て30GP優勝記念として
サケの母川回帰のように大きくなって産卵再演!!
【配役(敬称略)】
一果:澤井里依
花:本多真理
ジュン:中川浩六
聖美:木山梨菜
キャシー:山下春輝
マリー:美香本響
☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆
12/22(日)16:00回 千秋楽を観劇!
6月の30×30【Birthday】の長編作品。
父を捜して見知らぬ土地へと赴いた、ちょっとおかしなJKと、今を偽って生きる父親のアレがコレする、ハートフルコメディ。
初めから掴みOKやもんなぁ。
本多さんと澤井さんのテンポの良い掛け合い。
そこから繰り広げられていく展開が最高。
【Birthday】のキャストだけで80分やっても良かったのかもしれないけど、美香本さんが加わるだけでまた違うなぁ。
序盤、父親のジュンと一果がバーで出会って話をする場面。
小さい頃に父親がいなくなったから顔はわからないと話す一果やけども、唯一の写真を肌身離さず持っていたとするならば、この時点でジュンが父親と認識していたと思う。
そう考えたらその先のやり取りのもどかしさ。
早く言えよ!お互いにさ!!って思うし、とにかくジュンが言わへんのがもぉキィー!ってなる(笑)
でもそれがあるからこそのラストシーンであったとも思う。
真相を話したところでどうしようもないと諦める父親と、どんな真実でも構わないし、ただ父親に会いたいって気持ちだけを持ち続ける娘の、すれ違ったやりとり。
周りがどうのするんじゃなくて、いやどうのとしてるし背中を押してたりもするけど、結局は父と娘が互いに歩み寄って交わす気持ちのやり取りにグッとくる。
本当にキューーってなるんやけど、温かくなる締め方。
ほんまに最高でした!笑わされた(笑)
開演前の中川さんの前説。
おもしろいし、さすがやなって思う。
「80分間、携帯見ちゃダメ・しゃべっちゃダメ・ごはんも食べさせてくれないし、飲み物も飲ませてくれない。こっちは暗いのにそっちは明るい。ただただ80分間訳の分からない芝居見させられる。
お芝居はそんなもんだと思ってください」
ここまで観劇すると忘れがちやけど、異様なことなんかな。別に普通のことやと思ってたけど。
まま、いいや⬅
カーテンコール
中川さん泣いたよ!!事件だよ!!
この人には心ないと思ってたけど(失礼)、その姿を見て、この作品がどれだけ特別なものなのかってわかった気がする。
そんな作品を、中川さんが感極まるほどの作品を観れたことが、心底ありがてぇなぁって思う。
最後だなんて言わないで、またやってほしいなぁ。
映像に残すだけじゃもったいないよ。