【あらすじ】
舞台は小さな港町の元スナック。
数年前に店をたたみ今はもう夜の色香のかけらもなく、家庭が侵食してきている。
長年ここを営んできた
富澤家の母、三江が急逝して3日がたった。
その母がいなくなった今、元『スナックみつ江』とお互いにへち(そっぽ)をむいた家族三人が残された。
そこへ訪ねてきた「理恵」。
理恵が語る「三江」は、
家族の知る母とはまるで違っていた


【配役(敬称略)】
三江:中道裕子
国昭:隈本晃俊
正孝:澤村喜一郎
あいな:竹田モモコ
理恵:東千紗都
洋平:泥谷将

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やっぱりなんか好きな、ばぶれるりぐるさん。

温かい空気がいつも感じられる。

今回は母の死をきっかけに、久しぶりに集まった家族の、本音や家族の在り方、そしてそんな家族も知らなかった母の姿が、ばぶれるりぐる独特の幡多弁で紡がれていく会話劇。


突然母を失った富澤家。
最初は喪失感みたいなのがあんまり感じられなくて、むしろ父と息子と娘が集まった時の何とも言えんよそよそしさだけが、舞台上にまとわりついてる感じを受けた。

それだけで「なんかある」って思う家族やし、所々回想シーン的なものがあって、母親と子供対父親っていう関係性なんかもわかる。

重いだけの話かと思うとそうでもなくて、東さん演じる理恵が登場することで、母親の隠された顔みたいなのも明かされていくし、理恵の明るい感じがまた良くて。


泥谷さんなかなか出ぇへんやんって思ってたら、後半から出てきて、この理恵と洋平が出てくることで、家族も気づかなかった父親の性分がわかっていくのもおもしろかったなぁ。
めっちゃくちゃ不器用な父親。
「よっしゃ、俺が何とかしたる」っていうんじゃなくて、「そうか、わかった」って一言発して手を貸す、手を差し伸べる感じが良いね。


あいなというキャラクターでは、同じ立場とか気持ちを持ってる人もいそうな感じ。
誰に頼まれたわけでもないんやろうけど、母親の近くにいると自分で決めて、地元を離れて帰りたい時に実家に帰ってくる兄弟の悪気のない行動にイラつく。
私も母親が体弱くて年に1回は必ず入院するような感じで、いっつも私が付き添ってて、見舞いも私しか行かなくて、でも別に親にも兄弟にも頼まれたわけじゃないねんけど、勝手にそれを任せられてる気分で腹たってたことはある。

普段は口には出さへんけど、こういう時に爆発するってあるなぁって思ったなぁ。


当日めっちゃ頭痛くて(風邪ではない。絶対に風邪ではない!⬅)、当パンを開演前に読めなかったんですけど、その当パンの中に竹田さんが「私はいわゆる父母兄弟といったまとまった家族がいません。」とあって、観終わった後に読んだもんやから、「へぇーーー!」ってなった。
親とか家族の面倒くささ、友人から聞いただけの【家族】を竹田さんなりに描かれてるもののはずなのに、ほんまにどこかありふれた家族の話のようにも思えた。




めっちゃ面白かった!
やっぱいいね、会話劇は!