【あらすじ】
郊外の町で、廃校を活用して開かれている「話し方教室」。そこには話すことにまつわるさまざまな問題を抱えながらも、弱点を克服できないまま講座に通う生徒たちがいた。ある日、体調不良で講義が続けられなくなった講師の後任として、彼らの前に新たな代理講師が現れる。彼女の厳しい指導に生徒たちは抗議するが、やがて議論は深まり「人前で話すとはどういうことか」を考え始めて…。発声練習に取り組む不器用な人々の姿を通し、コミュニケーションの難しさを描く。
(チラシより引用)

【配役(敬称略)】
大迫恭子:猿渡美穂
大迫夏苗:斉藤幸恵
堀井浩輔:早川丈二
松倉優希:飛鳥井かゞり
谷崎正志:山下春輝
西脇絵梨:濱奈美
北山洸:得田晃子
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9/6(金)19:30回を観劇!
場所は應典院。

本当に良き!!
いやぁすごい良き!!

虚空旅団さんの作品を観るのは2作品目です。
昨年9月に伊丹のAI・HALLで上演された【きつねのかみそり】が初めての虚空旅団さんの観劇。

その作品も深くて考えさせられるし、取り扱う題材、テーマに対する視点が変わっていておもしろかったです!

その時の作品の印象も、受け取れた気持ちの部分も良かったのと、やっぱり推し劇団の丈二さんがご出演されるのと、DOORで拝見した猿渡さんと、ばぶれるりぐると【きつねのかみそり】にもご出演されていた得田さんが出はるとのことで「良い予感しかせんわ」ってことで観劇(笑)



今回の作品は人前でしゃべれるようになりたいと【話し方講座】を受講する受講生たちと講師の話。
講座を通してコミュニケーションの難しさを描いています。



頷きが止まらんのよ(笑)
色々な頷きね(笑)

「あー、なるほどなるほど( *・ω・))コクコク」

「あー、そういう意味なのねー!ふんふん、ほぉほぉ( ゚ー゚)( 。_。)♪」

「あー!わかりみ!わかりみ!
(*゚Д゚)(*。_。)ウンウン(*゚Д゚)(*。_。)ウンウン(*゚Д゚)(*。_。)ウンウン」⬅


この繰り返し(笑)


受講する目的にそれぞれの悩みがある受講生。

初っ端ではお互いに干渉し合っていない様子で、だからどこか距離があり、お互いに何も知らないといった雰囲気。

元々その講座の講師をしていた人の進め方自体が、テキストの例文をひたすら読むだけだったと。

その講師の方が体調不良で講師を続けられなくなり、その後任として選ばれたのが恭子。

ただし第一回目の講座が不評。
講座終了後に受講生の西脇からクレームが入る始末。

そりゃそうだ。
細かく描いていたわけではないけれども、前任の講師ではきっと椅子に座ったままでできることしかしてなかったと思う。

ただひたすらテキストを読み、上手く読めたら褒められるだけの講座だったのかもしれない。

それがいきなり数人の前とはいえ、自己紹介をさせられ、ケチつけられ、ハードな発声練習させられた日にゃ「なんか違うくね?」ってなると思う。

恐らく知らない人の前でしゃべることが得意ではないからこそ受講した人らの集まりなのかなとも思うし、西脇が言うように「コツさえ教えてくれればいい」という姿勢で来てるわけやから、ほんまに人前で恥をかかすような講座ならだいぶキツイよねぇと思いながら観てました。


その第一回目の時点で恭子が目指す教え方と、受講生の姿勢にズレが生じていることがわかります。

その想いを聞いた恭子は「それではやり方を変えます」と言い放つ。

「Poor Japanese」

言葉や文法がめちゃくちゃでも気にせずに自由に何でも発言する。
そうしていくうちに正しい言葉を得られるという方法で講座を進めていくことに。


そうしているうちに受講生の内なる悩み事や話から、恭子も自分の中にある母親に対する想いに変化を見せていきます。


ランタイム約2時間の中には、恭子と母親との問題みたいなのは描かれてはいないんですよね。ただ母親が体調を崩して病院へ入院しても目立った心配をするわけではないし、「母親や妹の前では演じている私」という言葉から、親子関係に亀裂はできているんやろうと察せる。

その間を取り持とうとする妹の言葉は響かないけど、受講を進めていく中でその心境には僅かでも少しづつ変化されていく。


受講生たちも自分たちが悩んでいることをさらけ出し、周りの意見を聞くことでもっと深いところを掘り出して解決方法を見出していく。


その悩みに対する中身や意見交換の中身は結構深い。

仕事のために演じるということが本当の自分なのか

演じるということが嘘をつくことにあたるのか

あらかじめ用意されているマニュアル通りの対応。正式な対応の窓口は焼却炉みたいなものなんじゃないのかと考え始める。誰にも届かず、なかったことになってしまう。

考え続けるということ。
周りの意見が全て間違っているんだとまずは思うこと。

人と人との間に生じる「演じる技術」
それは決して我慢するためのことではなくて、相手を、周りを変えるためにまずは自分を変えるということ。


深いのぉぉ!⬅



高橋さん(脚本・演出)の知識の豊富さなのか、その専門的なものに対すること細かいセリフの部分は「へぇー」ってなりましたね。



初っ端のことに戻りますが、第一回目の講座終了後の恭子と西脇の揉め事。
西脇の言葉は「めっちゃわかるわぁ!!」ってなりました!
「日本語は最後まで言わないとわからない」と言う恭子に対し、「言わなくてもわかるようにも出来てる」と言い返す西脇。
途中で止める言葉の先には確かに汲み取って欲しいその人の気持ちがあるわけで。敢えて言わなくてもわかるでしょっていうのはある。
そしてそれがいかに大事な部分であるかも。

コミュニケーションをとるのに言葉だけが全てとは私も思ってはなくて。
発せられる言葉の節々から何を言いたいのか、どう思っているのかってわかったりもするじゃないですか。
身振り手振りであったり、姿勢であったり、表情であったり。
どこかしらから、その人が何を言いたいのかって少しは伝わると思うんです。

だからハッキリと「最後まで言わないとわからない」と言われると、確かにそうかもしれないけれど、言わなくても伝わるものはあるでしょって。敢えて言わなかった言葉には相手に対する気遣いなんかもあったりするし。
ハッキリ言うことで生まれるいざこざもあるしね。

まぁ「伝え方」

なんかなぁとは思いますが。




この作品淡々と会話だけで進められるわけですが、笑いの部分はめっちゃ笑いましたね!

西脇は結構痛いところをストレートについてきたりするんですけど、元々受講した目的が友人の結婚式のスピーチをすることになったからなんですよね。中身がかなりカオス(笑)(笑)
それは言ったらあかん!!ってツッコミそうになった(笑)

緩和ケア病棟の看護師である北山は自信のなさぶりがツボ(笑)
得田さんは「きつねのかみそり」でも主張できない妻の役してたと思う(笑)

あと丈二さんは良いスパイスですわ⬅
ちょいちょい入る笑いの部分はさすがながら、スっと入ってくる深い言葉。

あと鞄の退け方ね⬅スーーーって(笑)

Twitterでつぶやいた【丈二さんのお気に入りシーン】なんですけど、

廃校の校舎を利用して講座を続けることが完全にできなくなることに対しての、夏苗とのやりとりでのところです。

「イライラしてるな、飴をあげよう」とキャンディを夏苗に差し出すんですけど、そのキャンディのネーミングが「幸せのキャンディー」で、「幸せになるんですか?」という夏苗の素朴な疑問に「わからん。幸せになるとは書いてない。"幸せの"キャンディーだ。」と答える堀井。「曖昧ですね」と腑に落ちない夏苗に「そこがミソや。ほら、手出し」っていうセリフ。



"ほら、手出し"

"ほら、てだし"

"ホラ、テダシ"

"hora,tedashi"⬅



フォォ――(⊙ω⊙)――ッ!♥

三('ω')三( ε: )三(.ω.)三( :3 )三('ω')三( ε: )三(.ω.)三( :3 )ゴロゴロゴ

ドスドス( ∩'ω' )=͟͟͞͞⊃ ’, ;’;ドスドス( ∩'ω' )=͟͟͞͞⊃ ’, ;’;

一瞬萌えたね⬅

どこに萌えてんねんって話なんですけど(笑)


あんまりこういうことは作品に対しての感想ではないから書きたくはないねんけど、如何せんずっとあのシーンこびりついてるもんで(笑)

こういう些細なところにテンションあがるってことはファンである証拠です(笑)

いつもやっぱりふざける立ち位置やったり、お調子者的なキャラばかりしてはる気がするので、ふとした時に出るこういう大人の男性的な部分には「(✽´ཫ`✽)フハッ」ってなる。
吐血ものですよね⬅
鼻血ちゃうよ、吐血(笑)

丈二さんファンの人に伝わってくれたらいいや⬅



話を作品に戻して(笑)

2時間の作品の中で、受講を受けた生徒たちの表情が変わっていきます。後半は自ら積極的に話を切り出すようになる人がでてきます。

初っ端のあのお互いの空気がガラリと変わり、受講前に日常で起こった出来事を自然と話し出し、それに対して周りが話の続きを促す行為や疑問を投げかける行動を取ります。

コミュニケーションが取れるようになってきているわけです。

恭子が変えたやり方がその後にいい影響を及ぼしてるなぁと思いましたし、無理やりに変わった感じがなくてすげぇなって思ったシーンです。


本当に良い作品!

代弁してくれてるような気持ちにもなりましたね。
そういうことなの!!って思うところがたくさん。

観れてよかったー!!ほんまに最高の舞台でした!!