【あらすじ】
大陸から伝わった文房四宝、筆墨硯紙を
この国で、自ら作り始めた時代
大陸から渡米した僧曇徵に教えを受けた
四人の倭人が
それぞれに四宝を作り
そしてそこから自国の文化へと吸収し発展して行く
この国の「書」のはじまりーーーーーーーーー
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18日2回公演のみのお芝居でした。
場所は奈良100年会館小ホール
小さな小屋でした。
逆にそれがよかったかもしれない。
構造上か反響音も強く、セリフは聞き取りやすかったです。
客席は天王寺にある近鉄アート館をご存知の方なら分かると思いますが、コの字型。
アート館のように段差はありませんが、舞台を真ん中にして囲んでいる形でした。
舞台は斜めになっていて、昔の床に座って書などをかくような机が一つ。
墨を磨る男が一人。
その男の周りを大層な服を来た男が歩き回り、墨の作り方を語る。
男は長い時間かけて作り上げた墨を手にし、「よし。よしよし。よーし。できた!」と叫ぶ。
待ちわびていたかのように、3人の男もやってくる。
どうやら帝に献上するための文房四宝を作っていたようだ。
墨をつくる男の名は黒土(くろつち)
筆は竹津(たけいつ)
硯は石見(いわみ)
紙は糸氏(いとうじ)
帝へ献上する前に、師匠である曇徵(どんちょう)へチェックしてもわらないといけない。
だがさらにその前に試してみようと試みる。
出来たてほやほやの墨を手にし、石見が既に曇徴からお墨付きをもらっているという硯で磨ることにした黒土だが、緊張のあまりなかなかできない。
ここは磨るのが上手い石見にとバトンタッチ。
仕方ないと言いつつ、テンションが上がる石見。
できあがったばかりの墨の前に作った失敗作も試しにと磨ってみるも、失敗作は失敗作。
磨った瞬間から折れたり、逆に硬すぎて磨れなかったり。
本命の三本目。
磨り具合はまずまずのよう。
しかし
何かザラザラしている。
失敗に終わったようだ。
もう一度と、黒土は作り直す。
何度かこれが繰り返されていきます。
2回目は磨る感覚も申し分なく、磨った墨も良い感じ。しかしいざ筆に墨を吸わせ、字を書くも薄すぎる。
3回目は匂いが凄い。
何がダメなのか。
なぜ師匠の曇徴とは違うのか。
何度作っても良い物ができない。
黒土は様子を見に来た曇徴に思いを吐露する。
なぜ、作り方だけしか教えないのか。
なぜ、材料の分量を教えてくれないのか。
曇徴はいう。
「帝は「この国の墨を作れ」と仰った」と。
曇徴が作る最高の墨などではなく、この国独自のモノ。
そして、黒土は作り方を口に出し、また墨を作り出す………。
まぁネタバレ半端ないんですけど(笑)
今回も当パンがありまして、開演前に読んでみました。
誰が日本最初に墨を作ったのか?その史実は残っていない。
だけども、その人たちが作った墨の文字は、現代でも残っている。
残った物の向こう側にある人々の想いが伝わればと思います。
と。
確かに。
普段、何気なく使っている「物」に対して、誰が作ったのか、とは誰も考えないですよね。
食品とかもそうかな。
だけども「物」を作る人達は、届ける人達のことを思って作っているのかもしれない。
特に今回のような、書に関するものは当パンにもありましたが、もぉ手書きで文字を書くことが少なくなってきた現代に於いては大変貴重なのかもしれないですね。
新しく「物」を生み出す人達は、特に届ける相手のことを一番に思っているかもしれないですね。
名は残らないけれど、ずっとこの先も生き続ける。
たった一つの「モノ」を作る人々の苦悩と悔しさ、心から溢れんばかりの喜びと想いが伝わる、そんな素敵な作品でした!
EVENT-STATIONさんはこれで2回目です!
奈良を中心に活動をされている団体さんですが、前作の【死しても尚、この命尽きるまで】もかなり良いお芝居でした!!
次回公演の発表もされています!
20周年記念公演だそうです!!
この機会にぜひ一度、EVENT-STATIONさんのお芝居を観に行ってみてはいかがでしょうか?