【あらすじ】
「二〇〇〇万?あのおっさんがそんな持ってるはずないやろ」
「脱税して貯めてたみたいなんです」「…ほんで?」
「だから、盗られても警察に言えないんです」

淡路島にある小さな工場で働く
純粋な人々の物語。
彼等、彼女等が生み出す
甘美な絵空事が
全てを巻き込み錯綜する。



初日と千秋楽を観てきました!


初日は観終わってしばらくは動けなかったですね。なんとも言えない感情を思い切りぶつけられた気がします。



社会を大きく見れば小さな出来事なのかもしれなくて。

でもそこを敢えて抜き取る。

そこには私たちが気づいていたけど、気づかないフリをしていたかもしれない、本当の気持ちや思いが描かれていて。

「変わりたい」っていう願いと「どうせ変われない」っていう諦めと。


人間くささに溢れた作品。

なんやろう、痛々しくなる気持ちやったり、グッと握り拳を作ってしまいそうになるセリフやったり。

初日は誰にも当てはまらないけど、気持ちは重なるなって思ったんですけど、千秋楽ではどの登場人物にも思いが重なって、うわぁってなりましたね。


こんな一言で片付けるには失礼やけど、

ほんまに良い


誰もが描こうとして描かなかった物語な気もします。

野村さんが14年前に書いた作品。野村さん自身の物語と観劇仲間さんに教えてもらいました。



まるっきり想像で描く戯曲ではなくて、

そのまま野村さんの思いを乗せて描いた話。

嘘臭くなくて、だからちょっぴり重たくて、

なのに愛おしくなるような作品。

野村さんがこんな世の中を足掻いて生きていたのが伝わる作品。



これが最後………。観れて良かった。本当に良かったです。







キャッピーさんこと、殿村ゆたかさん。
社長役。
30年仕事に生き、信じられるものがお金だけになってしまう。コツコツと脱税したお金を貯め込むも、一瞬にして失う。
そのお金で何をしたかったのかは描かれていていなかったけど、結婚もせず独り身でいる中年にはもぉお金しか本当に信じられなくなったんやろうなぁって感じました。

キャッピーさん………かわいい(≧ω≦)←




スナックのママ役、美香本響さん

小さなスナックを一人で切り盛りするママさん。柴田たちくらいしか来なくなったお店を畳もうとしていた矢先の今回の出来事。
ツケ代を払ってもらおうともしまいとも、店を畳む決意は決まっていたようで。
どこに行っても同じとママも分かっていた感じ。でもこんなことくらいしか出来ないんだとも。
店を閉めてもまたどこかでスナックやってるかなぁ。

美香本さん、ふとした時のママから気を抜いて一人の女性に変わる瞬間がドキっとします。




チェン役、伊藤駿九郎さん。
明るくて、前向きで、ちょっとアホな人(笑)
今回の作品では唯一何も悩み事がないような感じの人。でもラストあぁなったのは一体何なのか。
全てを持って行って、一体どうしてあんなラストになったのか。チェンが一番わからなかったな。

駿九郎さん、劇団文化祭以来。こんな役までやっちゃうんや(^_^;すげぇな(笑)



宮崎役、セプテンバー酒井さん。
あ、ちゃう。川添公二さん。
偉そうで、いつも先輩風吹かせてる人。
いつも仕事終わりに柴田をスナックに引き連れて、自分が一番上なんだと偉いんだと横柄な態度をとる。それが気持ちいいんだと思ってるんだろうなと。
ツケをしてまで毎晩毎晩、柴田引き連れて飲みに行く様子に残念さがありますよね。
だけど後半、金が手に入らないと知った後の行動には男気を感じました。
それはママの言葉を聞いたあとの行動が、何としてでも金を手に入れてママに返そうっていう風にも捉えれたし、社長の家に直に行って社長の「誰がやったんや」って言葉に、本当のことを話さなかったりだとか。
実はほんまはカッコイイ人なんかなって思いましたね。

セプさん(←)、写真撮る時まで宮崎!ありがとうございます!






末田役、一瀬尚代さん。
一番「変わりたい」って願った人。
変わろうと努力した人。
なのに誰にも気づかれなくて。
大胆な計画も結局は失敗に終わる。
初日は気づかなかったけど、とあるシーンはメガネ外してたんですね(゜Д゜)
千秋楽でやっと気づきました(笑)
柴田へあることをお願いするシーン、気持ちを吐き出すところにかなりグサッときました。

一瀬さんはメガネニカナウ2をDVDで拝見した時、めっちゃ気になってた人なんです。
いつか拝見できればと思ってて。
いや、凄かった。全てが印象に残る。




柴田役、オパンポン創造社代表、作・演出・出演、野村有志さん。
柴田がえぐかったな。うん、言葉が適切ではないけれども、えぐかった。
柴田的ポジションがほんまにしんどいんやと思うんですよ。
先輩をたてないとアカンし、後輩が口滑らそうものならフォローせんとアカンし。
そりゃ爆発したくなるわ。でもこういう人は絶対にいそう。こんな分かりやすいものじゃなくても、必要以上に気を遣ってる人はきっと。
柴田はそうすることで日常を安全に生きようとしてたんかもしれないですね。
無理に変わろうとすることで取り返しのつかないことになるよりも、現状維持で過ごしていこうと。
なのに勝手に巻き込まれて。
セリフがほんまにグサグサくる。
「結局は俺らサイズの人生」ってセリフがずっとグルグルしてるんですよ。
そんな小さな小さな「自分サイズ」の中で周りが変わろうともがいてるのを、柴田はどんな目で見てたのか。ふとそんな考えがよぎりましたね。

野村さん、背が高いよー(´;ω;`)オパン犬ンの画像も怖いから話しかけるのは躊躇ったんですけど(笑)
いい笑顔ー!この写真はザ・野村さん!って感じですけど(笑)



最後の「さようなら」、ほんまに観れて良かったです!!