A君の御両親について、全くの主観ではあるが個人的意見を交えて書こうと思う。








母親はとても真面目そうで地味そうな専業主婦だった。
小学生の頃、習い事のバス路線をメールでお尋ねしたとき、10円単位まできちんと節約を考えて「○○バスより××バスのほうが20円安いが本数が少ないんだ」と
細かく教えて下さった。

小学校の参観日もきちんと参観し、クラスの保護者会では手を挙げて『息子の反抗期に悩んでいる』とおっしゃった。

なやむ❗というのは一生懸命考えて育てているということではなかろうか。



しかしヒステリックな一面もあった。
A君はよく親にウソをついていた。夏休みに皆で映画に行くときは彼だけは親に本当のことを言わずにお金だけはきちんと準備してきていた。

子供からいつも聞いていたので、この日も親に隠して映画に行くつもりだと察したことがあった。男の子数人が我が家に迎えに来てくれて2000円持たせたが、6年生に2000円は大金であるため思い切ってA君の親(自宅)に電話をかけた。


「今日は6年生のお友達数人で卒業記念に映画を観ることになっているようで皆がお迎えに来ています。これからA君のおうちにお迎えに行くと言っていますがよろしいですか?」



「え??なんのことですか?!聞いていませんけど」とお母さん。でもすぐに自分の息子が隠し事をしていたのでは?と察しがついたようで、いきなり声色が変わり息子であるA君に


「おい!どういうこと?!聞いていないわよ!!!」と電話の向こうで凄んでいる。




「し、知らない…映画の約束なんてしていない。」A君の小さな言い訳が電話口から震えて聞こえてきた。いつも外で見る活発なキャラではなかった。




「ボクは公園で遊ぶ約束しかしていない。皆が勝手に言ってるんだ」と彼。






すると強い口調でお母さんがこちらに言った。
「うちの子は映画に行く約束はしていないと言っています‼」




そんなに怒って言うことかなぁ。

お母さんはきっと、息子かウソをついているのでは、と内心では思っていて
ウソをついていないとどうしても
信じたくて私に怒っているのかなぁ、と思ったことがある。




電話はすぐに切ったが
もちろん迎えに来ている子たち全員が
「言い出しっぺはA君なのに」と腑に落ちない様子だったが、それよりも今から残りのメンバーで映画に行こうぜ!と
すぐに気持ちを切り替えて近くのイオンに楽しそうに向かって行ったのだった。







お母さんのヒステリックさは、夜6時過ぎてA君たちが遊んでいても、他の子どもがいる前で
「おいてめぇ!いつまで遊んでるんだ」と
通りががりに低い声で脅していくんだと聴いたことがある。



人は見かけによらない(あんなに地味でマジメそうなお母さんなのに)と
とても印象に残っていた。