写真詩:煙の咲く夜にもう一度逢おうか。-ぬれている。



世界は雨に濡れている
こんな風に涙を流すことができたら
もうとっくにその時は終わって
新しい一歩を踏み出していたかもしれない

それはもうひとつの長い道

いつからか空を見上げることもなくなって
こんな淀んだ空になにを見るの?って
星すら感じられなくなったこの心に
届く願いなんてあるはずもなく

ああ 君に伝えたいことがひとつある
命はもうひとつだけ残されている
今君が立ち上がるのならば
僕は君に星を届けるのに
僕は君に星を届けるのにさ

昨日からひとつ空に浮かんだ
満月が追い払ったか弱い光に手を伸ばして
こんな淀んだ空へようこそ
脈拍がはやくなっていく

ああ 星に伝えたいことがある
その命を僕にください
何度だって生まれかわるこの心に
ひとつ揺るぎない魂がほしい
吐いた息の白い色
涙の透明 青い雲の色
涙が出るのは
こんなにも涙が流れるのは

ああ 命の色
ああ 命の音
雨に濡れたこの世界
こんなにも美しい のは!

僕らがそっと触れる熱に
花が咲いて 涙を飲み干して
必死に生きようとするから
必死に叫ぼうとするから
死ぬくらいなら生きてよ、って
訴えるから
一瞬刻み込む その笑顔で
どんなにか僕を励ましただろう

この世界は雨に濡れている
頬に打つ雨粒のかすかな痛みが
君に刺激を与えるのならば
僕はもう一度だけ君に命を吹き込んで
共に立ち上がるのさ
掌を合わせて
熱を感じて
空を見上げて
星を呑み込む


ほら 晴れてきただろう