こんにちは

YOUTUBEで音楽を探していたら、ひよこのサムネイルが流れてきました。
小さな木箱にぎっしり詰まったヒナたちの「ピゥ、ピゥ、ピゥ」という声を聞いていて、屋久島で同じような鳴き声を聞いていたことを思い出しました。

テレワーク会議中に、ニワトリのヒナを守るため、ノートパソコンを持ったままカラスを追いかけ回したんですよね..
その時の話をしようと思います。

その時期、わたしは友人夫婦の宿兼自宅に泊まっていました。
崖の上にぽつんと立つ古民家で、広い広い海が眼下に広がっていました。

小雨が降っていたので、友人夫婦は仕事を休んで、赤ちゃんを連れて海岸に行っていました。
海岸の奥まったところにぬるめの温泉がわくので、他の家族も交えて、温泉でだらだら過ごしてくるようでした。
せっかくの雨なのに仕事をしているかわいそうな人間は、おそらく半径20km以内に自分だけだったと思います。

さて、仕事の方は順調に進み、午後になって、取引先とのテレワーク会議が始まりました。
議題は「今後、媒体の方向性をどうしたいか」で、要するに気軽なミーティングでした。参加者はリラックスし、わたしも、見えないところで島バナナをつまんだり、ストーブで足をあぶったりしながら参加していました。



さて、ニワトリの話に戻りましょう。
なぜニワトリがいるかというと、友人夫妻が「鶏の卵を自家生産しよう」と決めたからです。
幸い、近所にめんどりが余っていたので、その日の朝に、まだ若いめんどりと12羽のひよこがもらわれてきたところでした。
わたしが見に行くと、めんどりは小屋の中で「コッコー」と鳴いていて、ひよこは茶がら模様の羽を一生懸命動かして、ピョンピョンと跳ねていました。

友人夫妻がニワトリを入れた鶏小屋は、数日前に二人が作ったものでした。これが、低めの場所に通風口が開いていて、ニワトリが飛んだら、外に出てしまいそうな造りでした。

「この位置に穴が空いていても大丈夫かな」と聞くと、友人の夫は「あんまり暗いところで空気も通らないと可哀想だしね」と言いました。
わたしは「まあ、めんどりの羽根を切るのだろう」と思いました。


さて、二人が出かけ、遠隔会議が始まって座が温まってきた頃に、外で鳥がバサバサと羽を打ち、絶叫している音が聞こえました。

ちらっと鶏小屋をみると、めんどりとひよこたちが小屋から逃げ出し、走り回っているのが見えました。ひよこの半分くらいは外にいるようでした。

「不安が的中することって、あるんだな」と感心してしまいました。

次の瞬間、窓ガラスの前をカラスが横切りました。まさにひよこに襲いかかったところでした。
メンドリは体を膨らまし、羽根を広げてカラスを威嚇したので、カラスは退きました。
しかし、茂みの方には猫も2匹いて、めんどりに任せっぱなしにするのは無理そうでした。

友人夫婦の鶏小屋は、「ごちそうスポット」として、空から陸から大注目されていたことがわかりました。


わるいことに、わたしの仕事の請負料の中には、会議に参加する、という条件が含まれていました。
だから、会議はなるべく退出したくなかったのですが、参加人数が多かったので、発言しなくてもなんとかなりそうな雰囲気ではありました。

それで、音声をスピーカに切り替え、マイクをミュートにして、カメラを切りました。理由を聞かれたら「回線が重くなった」と言い訳するつもりでした。
そして、中庭に飛び出して行って、パソコンを芝生の上に置きました。

スピーカーからは
「表紙のデザインは今のままでもいいんですが、もう少し文字数を減らしたい」
というデザインスタッフの声が流れていました。
「そうですね。実は仮デザインの時に入れた文字数をそのまま採用してしまったので、こちらとしても変更はもちろん可能で…」
と編集が説明を始めました。


わたしはもう一度、マイクがミュートになっていることを確かめ、「コラッ」と猫を怒鳴りつけました。効果がなかったので、洗濯小屋からホースを引っ張ってきて水をぶっかけ、石を投げると、猫は「ちぇっ」といった様子で退散しました。

次に、棒を拾ってきて「ワァァァ!」と大声を出し、カラスを追い払いました。カラスは屋根の上にふわりと着陸しました。「まだ諦めていないぞ」という態度でした。

数えると、小屋にはヒナが7羽残っていたので、これは逃げないように通風孔を閉じ、小屋の隙間には雑巾を詰めて、上から小石をはめ込んで固定しました。
石が必要だったので、会議を聞きながら拾いあつめました。
「テレワークをしながら石を投げたり、詰めたりしているのは、半径1000kmでわたしだけじゃないだろうか…」という思いが脳裏をよぎりました。

ノートパソコンのスピーカから、わたしが関わった記事のコーナーについて提案する声が聞こえたので、「すみません、回線が重いのでカメラを…」となるべく落ち着いた声で謝ってから、業界における地域条例の取り扱いが難しいことを理由に自己弁護しました。

その隙にカラスが舞い降りてきたので、マイクを切って「コラッ!」と言いながら石を投げました。

カラスは木の枝に舞い戻って「カァ」と鳴きました。「人間てしょぼいね」くらいの意味だったと思います。


敵を追い払ったので、次は鶏たちを小屋に戻す段でした。
しかし、これはめんどりが突撃してくるので、諦めざるを得ませんでした。

仕方なく、鶏を監視しながら切り株にノートパソコンを置き、しゃがんで会議を継続していると、砂利道の向こうから、ニワトリを友人夫婦に贈った近所の老人が、ひょっこり現れました。天の助けでした!

事情を話すと(その間も会議の音声は流れっぱなしでした)、老人は「家に入りなさい」と言い、黙々と小屋に板を足し、上手に鶏を捕まえて戻し、帰っていきました。

本当にありがたかったです。

とまあ、そんなことがあったのを、YOUTUBEでヒヨコの画像を見、「ピヨピヨ」という鳴き声を聞いた時に思い出したのです。

ヒヨコって、何が起きていてもずーーーーっと、「ピヨピヨ」って鳴いてるんですよ。


テレワーク中にカラスと戦うのはあれを最後にしたいです。


では、また。