『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 』 (2014)
@TOHOみゆき座 / I-3 ☆☆☆☆ もう都内での公開はとっくに終わってしまったのですが、レビュー書いておきます。
というか私は上映期間終盤のすべりこみ観賞が本当に多いので、今後のレビューもこういう風になることが予想されます。
『バードマン』もシャンテでの上映が終わってしまい絶望していたところに、みゆき座での続映が決まり、6月の初めに見ることができました。よかった♪
『バベル』のイニャリトゥ監督最新作で、2015年アカデミー賞作品賞/監督賞/撮影賞/脚本賞の4部門受賞作。
周りで見た人のほとんどが絶賛してたので期待はMAX。
特に、音楽に携わってる友だちの評価がとてもよかったので、その点も気になってました。
サントラは、アントニオ・サンチェスによる即興のドラムソロ。
私は
『セッション』のレビューでも書いたように 、大学のときジャズ・サークルに所属していたので、私の周りでもアントニオ・サンチェスの名前に反応してこの映画の注目度は高かったです。
さらに、私の所属してたサークルの人たちがみんな好きなブライアン・ブレイドもサントラに参加してるとのことで、先輩たちはどこがブライアンか、なんていう話をしてました。(私は全くわかりません)
私は音楽よりは、やはりイニャリトゥ監督の最新作ということで大注目していました。
ただ『バベル』までの作品は、脚本のギジェルモ・アリアガの影響が大きかったように思います。
そしてちょっと話は脱線しますが、私、アリアガの作品大好きなんです。
と言っても『アモーロス・ペロス』『夜のバッファロー』は見てないのですが、イニャリトゥ監督の『21グラム』『バベル』の2作品、トミー・リー・ジョーンズ監督/主演作の『メルキアデス・エストラーダの三度の埋葬』、アリアガ自身が監督も務めた『あの日、欲望の大地で』を見て、その世界観のとりこになりました。
アリアガの脚本の特徴は、様々な時間軸で話が進行して収束していくという点にあると思うのですが、その収束していく過程の美しさ…この時間感覚が不思議でたまらないです。
『あの日、欲望の大地で』が2008年の作品なので、その後何してるんだろーと思ってたら、短編映画を撮ったりしてるみたいです。
それで『パリ、ジュテーム』『ニューヨーク、アイラブユー』に続くオムニバスシリーズ『リオ、エウ・チ・アモ』に参加したそうなのですが、この作品、
今年のブラジル映画祭 で日本公開されてました!
このシリーズも好きなので、見たかったな~。
何にせよ、アリアガの新作が見れる日を楽しみに待っています。
ということで、前書きが長くなりましたが『バードマン』のレビューです。
もう面白かったことは書くまでもないので、気になったことをつらつらと書いています。
以下、ネタバレはありません。
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まず、劇場でドラムの一音目が鳴った瞬間に、うわあ~~~~~~
ってなった。
このタイトルロールがシンプルでスタイリッシュ。
"BIRDMAN" というタイトルと共に、"AMOR" の文字が光る。
作中で主人公が舞台化しようとしているカーヴァーの『愛について語るときに我々の語ること』もだし、テーマは「愛」だ。わかりやすい。
サントラは基本的にドラムソロなのですが、その他にクラシックの交響曲も使われてました。
しかも私の好きなチャイコフスキーの5番と、ラフマニノフの2番!どちらも2楽章。
私の印象ではどっちも甘くてラブっぽい雰囲気があると思う。
特に
ラフ2の2楽章 は、映画の中で使われてる部分はほんとに一部分なんだけど、いいところを使ってると思います。
あと、この映画は予告が本当に最高。
VIDEO 予告にメインで使われてる曲は、Gnarls Barkley の "Crazy"。
VIDEO ちょうかっこいい。
え!ていうか Gnarls Barkley って、シーロー・グリーンのユニットだったのか!
この曲、本編で流れなくて残念だったなー。
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前作『BIUTIFUL』はそれまでのアリアガ脚本作品とは全く違うものだった。
でも、だからこそイニャリトゥ監督のやりたいことはこれなんだなーと思った。
『BIUTIFUL』はすごく静かな映画だったから、今回『バードマン』を見て、また全然変えてきたなー!と思ったんだけど、
フィガロジャポンのこのコラム で「中南米文学のマジックリアリズム」って書かれて、ストンときた!
『BIUTIFUL』も『バードマン』も、マジックリアリズムだ。
マジックリアリズムといえば、ガルシア・マルケス。読まなきゃなー。
そういえば最近光文社古典新訳文庫の『
ブラス・クーバスの死後の回想 』を読んでます。
この小説は1881年に発表された、ブラジル文学の古典。
ラテンアメリカ文学研究者・寺尾隆吉氏の紹介 によると、『ブラス・クーバス~』は「リアリズムの伝統」であるとのこと。
マジック・リアリズムは1970年代?辺りのもので、その土壌となるリアリズムは100年前、19世紀の『ブラス・クーバス~』に感じられる。興味深い流れ。
というのも私、文学部出身なので。一応。
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原題:BiRDMAN OR (THE UNEXPECTED ViRTUE OF iGNORANCE)
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
製作国:アメリカ
配給:フォックス・サーチライト・ピクチャーズ(アメリカ)、20世紀フォックス映画(日本)
日本公開:2015年4月10日
上映時間:119分
アカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞
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この映画を見てなんとなく思い出したのは『
アイズ ワイド シャット 』。
たぶん、男が街をさまよう感じが、というだけだと思うけど、一応メモ。