ブラックフライデー
一年で最も人混みが多い。
小売店は黒字のブラック、警官は街が人だかりで黒くなるのでブラックフライデーと皮肉で呼ぶ。
11月フィエレンツェの第四金曜日。人と人が重なりあい気分が悪くなるほど。ドォーモ広場には救急車が5台スタンばっていた。学校も休みだから高校生から老人家族連れ、とにかく街に人があふれている。
向こうから日本人が歩いてくるぜ、アイツからタバコをいただこうぜ。高校生が日本人にタバコをねだる。
こんどは後ろから黒人が黒ずくめの日本人に声を掛ける。
ヘイ!あんた。俺と同じだぜ。この腕輪タダであげるよ。
日本人の腕を持ち上げ腕輪をくくりつけスタコラ行ってしまうが、日本人は悪いと思ったのか3ユーロを払おうとした。黒人は要らないと言う。
ところが日本人がビニールの小銭入れを出すと、それでは足りないと言い直す。結局日本人は4ユーロを払った。
立ち止まって巻きタバコを巻く日本人に火を貸してくれと言ってくる。グラッチェ。
タバコを吸い終わる頃、今度はライターを差し出す低い声のジプシー。日本人は1ユーロを払う。
大聖堂の前に熱くなってノースリーブになってる1人の日本人がいるぜ。アイツからいただこう。
日本人は革の取り引きが成功して浮かれて気分が良かった。ブラックフライデーに仕事が取れ、商談で熱くなっていたのでいつものノースリーブの革ジャケットだった。
ジプシーが彼に近づきスマホのシャッターを切れと言う。
1人観光客同士がシャッターを切る。
もう一枚撮ってくれ。
これが時間稼ぎだとは日本人は気付かない。
ああ、いいよ。でもアンタのスマホ使いにくいね。
グラッチェ。
5分経って日本人は自分の好きなアングルで撮影しスマホを腰袋に仕舞う。
さっきのジプシーとは離れて自分のスマホを出し入れ確認。
20mくらい先の店舗へ入り、漆染め上げた皮革を褒められ、前日にもマジでいいねと2回も声をかけられていたので、イタリアで漆革がイケるなと。気分が良く200ユーロも使ってしまった。
記念にもう一度スマホを腰袋から取り出す。。。
ない!
スマホが無い!
おかしい。5分前まで使っていたのに。
え?
どこ?
もしかしてあのジプシー。
いや違う。彼と別れてからもスマホは使っている。
ん?
そうか!
一旦別れて、もう一度スマホを使うのを遠くから確認して、店舗の入り口で気がつかれないようにスレ違ったのか!
芸術だ。
カッコ良すぎる。
ほれぼれするプロフェッショナル。
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スマホにロックはかけない主義なので、データ漏出だ。
宿に急いで戻りドメインサーバにアクセス。
スマホを無くした時間後にwifiにアクセス履歴。スってから30分以内にアクセスポイントに入りやがったな。よーし、どっちが速いかみてろよ。
3社のメアドpin変更
4社カードpin変更
4社銀行pin変更
どうだ、俺の方が速いだろ。
一般電話から日本へ国際電話する。
同じ携帯機種の在庫調べ、盗難書類を国際FAX
帰国と同時に無償免責で新しいスマホを受取る手配完了。
撮った写真はジプシーがwifi ポイントへ入れば自動バックアップ後アプリにもアクセス不可能。SNS 3社pin 変更
また俺と会おう。
グラッチェ
MID

