主演はヴィゴ・モーテンセン
ア、アラゴルーーン!!!
『ロード・オブ・ザ・リング』でのアラゴルン役のヴィゴ(撮影は1999年頃)
映画の感想の前に、まずこのヴィゴの変わりように驚きです。
役作りのためにウエイトを増やしたそうで。
情報は知っていましたけれど、『ロード・オブ・ザ・リング』ファンとしては(ファンでなくても?)驚かずにはいられません。
『グリーンブック』での彼はカッコよくはありますが、中年太りが凄かったりで、アラゴルンもしくはヴィゴ・モーテンセンに惚れていた女子、大丈夫?! とちょっと心配になるほどでした。
さて、『グリーンブック』の話。
舞台は1960年代のアメリカ。
黒人ピアニストのドライバー兼用心棒(マネージャー)として南部を回ることになったヴィゴ・モーテンセン演じるトニー。
南部では黒人への人種差別は大変なものでした。
黒人というだけで、レストランに入れない、服の試着ができない、バーで暴行を受ける、しまいには難癖つけられて警察に捕まります。
でも、差別という重いテーマでありながら、見ていて辛いという感じがあまりしませんでした。
トニーは、陽気な性格でそして強くて口も上手い、頼りになる人物。
様々なトラブルを解決していくところが安心して見ていられる要因でした。
そして何より、2人の友情がこの作品の肝で、それがとても良かったから、重苦しく感じなかったと思います。
イタリア系アメリカ人のトニーは、最初は黒人を差別していました(黒人が使ったグラスを捨ててしまうとか)。
しかし、無職になり仕方なく、黒人ピアニスト ドクター・シャーリーのドライバーの仕事(高額)を引き受けます。
8週間、南部を車で巡る旅。
やっていけるのか、こいつら?
そんな空気の車内ですが、徐々に2人は打ち解けていきます。トニーが家族に手紙を書くシーン(無学なトニーは文法も伝え方も酷い)で、シャーリーがロマンチックな文章を教えてあげたり、シャーリーがバーで暴行を受けているところを、トニーがハッタリきかせて助けてあげたり。
そのようなことがあって、シャーリーがトニーに心を開いて家族のことを話したりするなどのシーンがお気に入りです。
あと、本場のケンタッキーのフライドチキン!!!
シャーリーが初めてフライドチキンを食べるシーンも含めて好きなシーンでした。シャーリーは、ホワイトハウスでも演奏経験がある超一流のピアニスト。
ニューヨークにいれば嫌な思いもせずに沢山稼げるのに、黒人差別の強い南部へわざわざ行く。
それは彼がそんな社会を変えたいという信念から。
彼の人種の苦悩と孤独の苦悩、そして信念も、この作品の鍵となる部分。
ラスト、クリスマスにトニーが長旅から帰宅し、家族、親戚と楽しく過ごします。
シャーリーはそこに誘われるも一度は断ります。
しかし、思い直してトニーの家に。
人種の壁を越えて暖かく迎えられるラストシーン。
こういった心温まるヒューマンドラマはいいですね。