ボストンコンサルティンググループ日本代表の御立尚資さんのコラムが面白いので、
個人のメモ書きとして記録します。
元ネタは、
こちら
から。
以下、記事内容(NIKKEINET
BizPlus
から引用)
『紳竜の研究』というDVDがある。そう、漫才の紳助・竜介の紳竜だ。
彼らの全盛期の演目をDVD化したものに加えて、紳助が、漫才師志望の吉本の後輩たちに対して、「プロの芸人とは何か」「売れるためには何が必要か」「どのようにして、自分の(芸人やタレントとしての)価値を上げていくか」といったことについて講義した内容も入っている。この後者の中味が、大変面白い。
例えば、売れるために必要な「XとYの法則」というものが語られる。「競争の中で勝ち残り続けるには、『他とは違う自分独自の特色(=X)』と『世の中のトレンド(=Y)』を、どう合致させるかが大事。凡百の一発屋が消えていったのは、Yが変化しているのに気づかず、それに応じて、自分のXを進化させきらなかったから」──。まるで、企業の競争戦略そのもののような話が、具体例を交えて、実に説得力を持って語られる。
ちなみに、漫才の世界で勝ち上がる過程では、(当時の先輩芸人が取り上げていなかった)若者の生活・行動をネタにしたうえで、従来にはない「スピード感」で語る漫才を作り上げ、差別化を果たしたとのこと。
当然、このためには、それまでにある様々な芸風を分析し、そのうえで自分ならではのXを考えたに違いない。そして、社会に新しく生まれてきているYを、これまた分析的な視点で把握して、XとYの接点の作り方を考え出す、という作業も行われたはずだ。
非言語的な「いわく言い難い」部分がある話芸の世界で、ここまで、分析的・論理的なアプローチを取った芸人は、さほど多くなかろうし、自分自身の方法論を「言語化」して、他人に伝える能力を持った人は、さらに少なかったに違いない。
島田紳助さんは、漫才ブーム終焉後も、様々な形で第一線で活躍し続けている。何かの番組で拝見しては「この人は、随分頭のいい人だろうな」と思っていたが、このDVDを見て、「この人は、只者ではない」という思いを強くした次第。
さて、島田紳助さんが駆け出しの頃にやっていた具体的な分析作業は、「自分から見て、この人はすごい」と思う先輩の漫才を、逐一ノートに書き写すというテープ起こしの作業だったらしい。自らの手で一語一語を書き出す。そのことによって、初めて、笑いを生む構造や、押す・引くのバランス感などが明示的に分かる、ということらしい。
おそらく、先ほどの「XとY」の戦略も、この「テープ起こし」の話も、「後から考えてみると、こういう価値がある」という部分はあるのだろうが、それにしても、自分自身の能力アップと勝ち残りのために、「自分の頭で考え、自分自身の方法論を作り上げていく」姿勢は、素晴らしい。
ご本人いわく、「才能がなければ、どうにもならないが、努力しなければ、本当に才能があるかどうかも分からない」分野だけに、自分のキャリアをつくるために必死で知恵を絞ることの価値が大きいのだと思う。
ここのところ、いろいろな形でクライアント企業の次世代経営層づくりをお手伝いする機会が増えている。この中で感じるのは、「自らのキャリアのために、自ら知恵を絞り、方法論を編み出す」ことの重要性だ。
『使う力』という拙著の冒頭でも述べたことだが、優秀な経営者の方々には、「人間力」「経営知識」「使う力」「業界・自社知識」の4タイプの能力が備わっている。もちろん、各企業が置かれた環境の変化とともに、経営者に求められるものも異なってくるのだが、この4タイプの能力を一定以上持っていることは、どんな場合でも必要だと思う。
我々がお手伝いする次世代経営層づくりも、座学的なものから、人事ローテーションの仕組みを作って「修羅場」を数多く経験してもらうものまで、様々な形で、この4タイプの能力を身につけてもらおう、という趣旨のものだ。少しでも早く、1人でも多くの経営者候補を育成したい、という現経営層の意思で、こういった機会を作る企業は、どんどん増えている。
ところが、こういった機会を与えられても、伸びる人と伸びない人には大きな差がある。紳助さんの言ではないが、「才能がなければ、どうしようもない」というミもフタもない部分はあろうが、どうやらその前の段階で「自らの知恵を絞らずに、与えられた機会を、受け身に捉える」という例が多そうなのだ。
経営者というのは、極めて属人的な「機能」であり、どんな場合も、自分自身に合った形で、ありたい姿を描き、そこに向かっていかなければならない。人の作ってくれた「型」にはまるだけでは、モノの役に立たない。
また、環境変化に応じて、ある企業のトップに求められるものも次第に変化していく。現在のトップの背中を見て、真似をするだけでは、次の時代に全く即さないスタイルになってしまうかもしれない。ことほどさように、経営者になる、ということは、必ず「カスタムメイド」の部分があるわけだ。
経営側が、いくら旗を振って次世代経営層づくりを進めても、機会を与える以上のことはできない。最終的には、肝心の本人が「自分の頭で、自分自身と環境を冷静に分析し、自分なりのキャリア戦略を考える」ことがないと、「カスタムメイド」の経営者は生まれてこない。
日本の報酬制度の中で、「経営者になること」自体の魅力が低下しているのかもしれないが、「経営者になって、こういうことを達成したい」という強いアスピレーション(志)を持ち、「そのために自分自身の能力育成とキャリア作りを戦略的に考える」という人たちが、もっともっと出てきてくだされば、と思う。そういう方たちの切磋琢磨と、経営側による「意図的な機会付与」が組み合わさって初めて、「強い日本企業再構築」が可能になるのだから。
漫才やその他の「芸」と言われる世界の人たちは、プロとして、自分自身を磨く方法論を模索し続けている。経営者(とその候補)の方々も、「経営という芸」を磨く方法論を探し、実践していく旅を生きている。この意味においては、類似するところがあるだろう。
経営者(とその候補)の皆さんも、たまには他の世界、例えば「紳竜の研究」でも見て、参考にしてみるのも面白いかもしれません。
以上、記事内容(NIKKEINET BizPlusから引用)終わり。
勉強させてもらいましたな。