老舗の重みは宝石箱へ
野暮用で六本木交差点へと芋洗い坂をのぼる。
ふっと、横を見ると、新しくなったアマンド。
そして・・・・
その地下には、昔からある、深夜まで営業してくれている
変わらない懐かしさが魅力のイタリアン、シシリア・・・・
が・・・・あ・・・・
あ・・・るはずのシシリアが・・・ない!?
独身の頃、アタシは西麻布に住んでいて、
どこぞやで飲んで六本木まで辿り着くと、
『ここまでくれば歩いても帰れる』という安心感をもって
〆のラーメンならぬ、〆のシシリアピッツァとサラダを目当てに、
そのドアを叩いていた。
創業昭和28年のレトロな店内と、いたるところに書かれた落書きが作り出す
雑然とした空気感が、この上なく落ち着く店だった。
なくなったのか?
時代の流れか?
と、
ふっと、
シシリアがなくなったんじゃ、
それより1年先輩の、あの銀座の名店、
創業昭和28年のイタリー亭はどうなったのか?
と、したくない妄想が頭を占領する。
まさか、イタリー亭までも・・・?
当時、京橋にあったクライアント先で、
日も暮れた後の打ち合わせが済んだ時、
アタシより30年ほど先に生まれた先輩に
『まっすぐ帰るの?飯でもどう?』と誘われると、
アタシは、イタリー亭とか、焼き鳥の伊勢広とか、
洋食の煉瓦亭とかいった古い店がいいとリクエストすることが多かった。
決して、今時でないイタリー亭のような老舗は、
その歴史の重さが、おじさまの歴史の重さとうまい具合にバランスをとって、
その魅力を上手に引き出し満足させ、傾きすぎることない居心地いい空気を
作り出してくれる。
半世紀以上を生きて人生の重みをあちらこちらに身につけてしまった人の重さに
便乗して、お尻をどっしり落ち着けて食事を楽しんでしまうのが大好きだった。
イタリー亭・・・いい店だった。
郷愁の念でいっぱいになり帰宅したアタシ。
手洗いうがいもそこそこに、さっそくパソコンで調べたら、
銀座イタリー亭・・・健在でした。
六本木のシシリアも場所が変わって
新しくなってがんばっているらしい。
そして、
半世紀以上生きた先輩と一緒でないと、その暖簾をくぐれなかった、
大好きな、大好きな、小さな小さな、あの昭和32年創業の名店も・・・
健在でした。
アタシのリクエストで、幾度となく一緒に暖簾をくぐってくださった
あの方に、連絡とってみようかな?
そんな事を思っている月曜日です。
あ!ちなみに、あの方とは、不倫じゃないわよ~っ!
しかし5年ほど連絡とってないし・・・
お互い年取っちゃって・・・会ったらがっかり・・・なんて・・・!?
美しい思い出は、美しい宝石箱に入れたまま、大切に
美化させて熟成させておいたほうがいいのでしょうか?ね?


