今から年月を下ること数十年前に、ある女性との出会いからオジサンとある女性(仮名・美由紀)との出会いから別れまでを・・オジサン流の思い出話しを数回に分けて綴ってみましょう・・。
出会い
オジサンと美由紀との出会いは、新緑の季節六月、雨の降りしきる上高地の帝国ホテルの玄関先から始まったのでした。
悪天候のため穂高の山から下山し、穂高の天気情報を伝えるために帝国ホテル事務所へ向かっていたオジサンに、親娘連れと思われる三人が駆け寄り・・前穂高岳の東壁は何処へ行けば見られますか・・穂高の山に詳しい人ですか・・前穂高岳はどの方向にありますか・・などど矢次早に尋ねる美由紀に、オジサンは、返す言葉を失っていました。
美由紀の問いかけも一息ついた所で、この三人連れが親娘であることが分かりました。
立ち話もなんですからホテルのロビ-でお話しを・・と、(ホテルのフロントに有崎という長年親しくしている女性がいて、この、物語に出てきます)告げるオジサンに、私達はこのホテルの宿泊客で、この娘が何としても前穂高岳が見たい・・と言うものですから、先ほど来より何度も玄関先に来ては、雨霧の中にボンヤリとした山容を見ておりました・・そして、穂高の山に詳しい人、東壁をよく知る人に出会えないものかと・・。
由紀とご両親と有崎と共に穂高の話しが進む中で・・
由紀が「私は、今日か明日にでも前穂高岳と東壁を見ることが出来なかったら、二度と、この上高地を訪れ、前穂高岳も東壁も見られません・・と涙ぐみ・・オジサンに、晴天であれば前穂高岳と東壁が見られる場所へ連れて行って下さい・・たとえ雨と霧で見えずとも・・この場所からよく見られますよって言って頂ける、その場所へ・・私は、雨も、足元の悪さも気になりません・・連れていってください・・。
由紀の切実な言葉と由紀の眼に光るモノを見たオジサンでした・・。
つづく