理事長の社会科見学 ~ハンセン病療養所 長島愛生園~ | なまくら日記の理事長坊主

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ハンセン病 


みなさんはご存じでしょうか?


私は、正直あまり知らずに、あまり関わらずに生きていきました。



ハンセン病は、

癩病ともいわれ、

差別の対象となった病気です。


私は、差別の問題に関して、

「寝た子は起こすな」論者なので、

ここに書くことをためらっていますが、

愛生園で出会った人が、

少しでも人に伝えて欲しいということを

言われていたので、少しお話しようと思います。




ハンセン病は、感染病です。

しかし、とても感染力が弱く、

普通は発症しません。



ごく希にその菌に対する免疫がない人が、

戦後の日本のように劣悪な栄養状況等で、免疫が下がったりしたとき、

発症することがあるということです。


今では、経済的に恵まれず、栄養状態が悪く、

上下水が整備されていない国以外での新規感染者はほぼありません。


2007年以降日本人の新規患者数は基本的に0であり、

日本人の栄養状況や生活環境を考えれば、感染することはありません


そして、万が一感染しても完治します


このことをまずちゃんと理解してください。






一昨日、知り合いからハンセン病療養所の愛生園に行かないかと連絡があった。


感染することはないということは聞いてはいたが、

“ハンセン病”には、関わることなく生きてきた私は、

二の足を踏んだ。

「少し予定を見てから返事します。」と伝え、

急遽情報収集を行った。


私は、ネットで調べてやはり感染することはほぼないということを確認したが、

それでも、その差別の歴史や症状のことを考えたり、

世界ではまだ患者がいることを考えると正直怖くて、

「連れて行ってください。」という返事をするまで、時間がかかった。




車で向かう中、ハンセン病のこと、その差別の歴史を聞かされた。

本当に、むごい話であり、気が重くなった。



療養所がある島に近づくにつれ、

ただの田舎ともちがう、なんとなく異様な雰囲気になっていった。


ハンセン病療養所がある島は、岡山県の瀬戸内にあるが、

そこには邑久長島大橋という、30㍍しかない“大橋”が架かっていた。


この邑久長島大橋は、昭和63年に建てられた橋であり、

その建造物の大きさではなく、

差別されてきた人たちの苦労の大きさ・願いの大きさを“大橋”と表したそうである。


そこに感じ取れる断絶の歴史のことを感じるとまた胸が痛くなった。



そのあと、光明園・愛生園と、2つの療養所があるが、

どちらも 仮設住宅 を並べたような、雰囲気の建物が広がっていた。



最初に連れられたのが、

監房だった。


監房は、その当時は園長の判断でいれることが可能だったそうである。

そこには、当時の監房に入れられた人の落書きがそのまま残っていた。

そんな人権なんて関係ない治外法権的な場所だったということである。



そのあと、一呼吸おき、島にある浄土真宗の会館に連れて行ってもらって、

桜がちょうど満開で、そこの世話人の方と花見をすることになった。

70歳を過ぎた2人の爺ちゃんだった。


とても記憶が鮮明で、

自分の半生、ハンセン病の歴史、長島愛生園のことを教えてくれた。

返事の言葉が思いつかないほどのことを語ってくれた。


しかし、ここで一緒に花見をしながら酒を酌み交わしてくれている

2人の和やかな笑顔をみていると、なんだか信じられないような話だった。



そのあと、歴史館や恵の鐘、納骨堂を案内してもらった。

そして、収容所・感染者の子供達が通った学校をみせてもらった。

そこは、私たちの住むところとは違うような、同じような、ところだった。



その後、また、2人と晩酌をした。

そこに、インドネシアからきた看護師が参加した。

なぜか 24歳のかわいい女性が三線を演奏してくれた。


ほんとうに不思議な時間だった。



翌日、治療棟を案内してもらった。


昨日の元気な2人とは違う。

重度のハンセン病の方にであった。


2人とも失明されていて、手の指もなかった。



その後、もう一人、このハンセン病のことを自ら綴る在日韓国人の入居者を紹介してもらって、帰路についた。





とても、不思議な24時間だった。


多くのことを考えさせてもらった24時間だった。


今の思いをここで書くことは控える。



こんな生半可な知識と感情を

ネットにダイレクトにぶつけることは出来ない。


思うところはたくさんあったし、

私なりに感じたこと、考えたことはたくさんあった。

けど、今の想いをそのままここに書くことは良くないと思う。



消化不良だが、

こんな時系列のみの報告で終わろうと思う。





しかし、また行こうと思う。

また行って、ちゃんと理解して、また皆さんに自分の思いや考えも含めた報告をしようと思う。