湿度。
私の肌をぬめりと覆うようなそれは、モノクロとは懸け離れた醜いタコのようなものだ。
常に私の脇や股の間にその触手を滑り込ませ、いやらしく弄りだすのである。私の蒸気した肌は、蒸せ返るような気温を優に超え、びちゃびちゃと音を立てて染みを拡げていく。
さすがに勇悦たるモノクロである私でも、この湧き出る聖水を止めることなどできない。
自分の中のモノクロを壊れた蛇口のように垂れ流す様は、海の神ポセイドンと讃える者もいる。
確かに私の聖水は、人のそれより神々しく出来ている。
一粒落ちればそこには美麗な花々が咲き乱れ、水辺に波紋を残せばたちまちメダカが孵化を始める。
これも私がひとえにモノクロであり、尚且つ、かの「白黒硝子」代表であるからこそ、神が与えた身体なのかもしれない。
私はよく聖十字団(白黒硝子団員)に私の聖水を飲ませているのだが、皆光惚とした表情で空を見上げて言うのだ。
「やっぱりクロは凄いです」
クロと言うのは私の名前の一つである。
私たちは定めない。
つまり、お互いを呼ぶその名ですら、私たちは定められることを嫌う。
私の名前はまだ他に23種類あるが、それはまたいつかの機会に。
さて、聖水を飲んだモノクロは、たちまち穴という穴から白濁液を吹き出し、大鷲のような翼を携え、モノクロの湧き出す天使へと変貌する。
彼らは7月の空を覆い、多量の聖水、つまり私の体液をこの地に降らすのだ。
人々はこの神聖な恵みの雨を、敬意を持ってこう呼ぶ。
「梅雨(救世主の子種)」と…
溢れ出る新世界の血(精子)、世界は浄化の一歩を辿る…!!